ダークボのふきカエ偏愛録

新生「シネマクラッシュ」をヨロシク!

『007/慰めの報酬』〈BSジャパン版〉、いかがでした?

前回の入稿時にはまだキャスティング進行中だったので、後日ふきカエルさんに情報アップして頂きましたが、かなり頑張ったつもり。『007/カジノ・ロワイヤル』の「日曜洋画」版に隅々までキャストを合わせる作業は既にキングレコードさんがやってくれたので、こちらはダニエル・クレイグの藤真秀さん(と、“M”役には実績のある谷育子さん)以外、自由にやらせてもらいました。

気付いた方もいるでしょうが、わがBSジャパン版には、「クァンタム」という悪の組織の名称が一度も登場しません。オリジナルでは、悪玉ドミニク・グリーンが取って付けたように名前を明かすんだけどね。
製作陣としては、本当は「スペクター」にしたかったはず。が、こじれた権利関係のせいで、当時は使えなかったんですね。で、ようやく権利問題がクリアになって製作されたダニエル・クレイグ=ボンドの4作目『007 スペクター』では、『カジノ・ロワイヤル』のル・シッフル、『慰めの報酬』のグリーン、『スカイフォール』のシルヴァという全ての悪玉を束ねる組織として「スペクター」が登場したわけです。
ウチのは2016年に新録するふきカエですから、もはや無意味な存在になった「クァンタム」はスルーしてしまおうと決断しました。ウワサでは、「QUANTUM OF SOLACE」という原題自体、「SPECTRE OF SOLACE」に改題された国もあるそうだし(「ジェダイの帰還」みたいだね)。
ちなみに俺には、こういう勝手な大変更の“前科”があります。罪状は拙コラムのバックナンバーを参照されたし。まあこれも〈テレビふきカエ〉の醍醐味の一つと思って頂きたく。

ご存知の通り、『007/スカイフォール』以降は藤真秀さんのボンドで劇場版ふきカエが制作されており、どうもこれが“オフィシャル化”されそうな雰囲気なので、もう007の〈テレビふきカエ〉が新録されることは二度とないかもしれません。
“オフィシャル化”というのは、権利元が、ふきカエのバージョンを一本化し、テレビ放送でもそのバージョンしか使用を認めないものとすること。例えば、BSジャパンで夏頃に放送を予定している『未知との遭遇』は、今後テレビ放送が許されるのは〈ファイナル・カット版〉のみで、ふきカエもDVD・ブルーレイ用の新録版(リチャード・ドレイファス=入江崇史さん)しか使えないのだそうです。
映画の作り手の身になってみれば、そういう発想も理解できなくはないのですが、〈オフィシャル版〉がファンにとって最良のふきカエとは限らないし、何より〈テレビふきカエ〉という文化の伝承には大きな障壁になるかも…

そんなこんなで、007シリーズ最後のテレビふきカエかもしれない『慰めの報酬』〈BSジャパン版〉。
おそらく6月頃に再放送しますので、初回を観た方も観逃した方も、ぜひチェックしてください。

ちょっと暗くなってしまったけど、気を取り直しておしらせを。

この3年間、副題「金曜名画座」として毎週金曜夜に放送してきたBSジャパンの洋画枠は、4月から、毎週水曜夜にお引越しします。タイトルは、シンプルに「シネマクラッシュ」

ベイブ [Blu-ray]ジュラシック・パーク [Blu-ray]

水曜「シネマクラッシュ」の第1弾は、4月6日(水)夜7時40分からの『ジュラシック・パーク』
昨夏大ヒットした『ジュラシック・ワールド』の原点、BSでは初の無料放送です。
本作のふきカエはまさに〈オフィシャル版〉ですが、これはファンも納得のバージョンでしょう。ただ、富山敬さん、弥永和子さん、永井一郎さん、納谷六朗さん… みんなもういない… ううう、また暗くなっちまった。
ちなみに、気まぐれに2本立てになったりするのもこれまで通り。『ジュラシック・パーク』の直前、夕方5時58分からお送りするのは『ベイブ』です。これは「金曜ロードショー」版のふきカエ(ジェームズ・クロムウェルは犬塚弘さん)でオンエアしますからね。

また、意外なクラシック作品をふきカエでお送りする企画も、〈月イチ名画座〉として続けます。4月は『メリー・ポピンズ』。5月は『クレイマー、クレイマー』ですよ。
メリー・ポピンズ 50周年記念版 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]  クレイマー、クレイマー [SPE BEST] [Blu-ray]

以降も、大作、話題作が続々。秋には、あっと驚く大型企画を準備してます。
もちろん…ふきカエ新録企画も、鋭意検討中であります。
〈黄金時代の映画番組〉を目指す、新生「シネマクラッシュ」にご期待ください!

 

[作品画像はAmazon.co.jpより]
※Amazonのページで紹介しているビデオテープ・DVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合や既に廃盤となっている場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。