吉田Pのオススメふきカエル

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『俺ちゃんまたまた(ピー)で(ピー)だぜ!』

「…おいおい熊公、久しぶりの出番だてぇのにのっけから(ピー)はねぇだろ」
「久しぶりどこじゃないよ八つぁん、俺たちが高座に上がるなんざ2年ぶりだぜ2年ぶり!俺ぁもうほんとに(ピー)が(ピー)で…グスン」
「泣くんじゃないよ。お声がかかっただけでもありがてぇじゃねぇか。そいで今回のお題は何だい」
「待ってました!地獄から蘇りし深紅のヒーロー、デッドプール様たぁ、あ、おいらのこ~と~だ~」
「…またコイツか」

『デッドプール2』

吉田Pのオススメふきカエル
© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

6月1日より全国ロードショー公開中
監督:デヴィッド・リーチ
出演:ライアン・レイノルズ ジョシュ・ブローリン
配給:20世紀FOX映画
公式サイト:
www.foxmovies-jp.com/deadpool/

人体実験により驚異的な治癒能力と不死の肉体を得る代わりに、醜い身体に変えられてしまった元傭兵のウェイド・ウイルソン、人呼んでデッドプール。恋人ヴァネッサを取り戻しお気楽な日々を送る彼の前に、未来からマシーン人間のケーブルが現れる。ヴァネッサの希望で良い人間になることを決意したデッドプールは、ケーブルが命を狙う謎の力を秘めた少年を守るため、特殊能力を持つメンバーを集めたスペシャルチーム「Xフォース」を結成するが…

 
「なんでぇ八つぁん、せっかくの登場なのに“また”ってこたぁないだろ」
「だっておめぇ、こないだのお座敷が2年前の6月だ。そんときのお題もこの真っ赤っ赤のトンガラシだったじゃねぇか」ふきカエレビュー2016年6月号はこちら
「トンガラシ言うない、ちゃんとデッドプールって名前があらぁ」
「はいはい。そのデップーさんが今度ぁどうした」
「…まぁやってるこたぁ前とあんまし変わんねえんだけどな」
「何だいそりゃ」
「相変わらずのちゃらんぽらんでさ。でもそのちゃらんぽらんのコンコンチキがだな、今度ばかりゃあ愛しの彼女から”ちゃんとしたヒーローになって!”なんて頼まれて一念発起するわけよ」
「ほぅ。ああ見えてあの兄ちゃん、なかなか骨があるじゃねぇか」
「そんで好きな酒も飲まず一心不乱に働いて、名実ともに立派なヒーローになるんだな」
「ふんふん」
「で、喜んだ彼女がお祝いに一杯おやりよ、ってお燗をつけてくれるんだがデップーさんそれを断って一言、”…いややめとこう、また夢になるといけねぇ”」
「芝浜かよ!」

「まぁそら冗談だけどね。それを言ったらこの映画なんて丸ごと冗談みたいなモンで」
「冗談が過ぎらぁ。で、この右端にいる強面のおっさんは誰なんだい」
「おぅ、よくぞ聞いてくだすった。こちらにおわすが誰あろう先の副将軍」
「おめぇそりゃあんまりベタだろう。だいたい水戸黄門なんて今どきの若いモンは知らないよ」
「そう言うけどさ、先だってもBSで新シリーズやってたぜ」
「武田鉄矢の水戸黄門なんざ俺ぁ金輪際認めねぇんだ。何ですかぁ~こらぁ~」
「守旧派のうえにひとっつも似てないね」
「うるせぇやい。だからこっちのおっさんは誰なんだって聞いてんだよ」
「そうだった。こちらにおわすが今回の強敵、その名もケーブル様よ」
「…なんだかテレビの裏でこんがらがってるみてぇな名前だね。あんまり強そうじゃねぇなぁ」
「そのケーブルじゃねぇや。この御仁は未来からやってきた最強の戦士よ」
「そんな遠いとこから何でまた」
「なんでも今の世に謎の力を秘めたガキがいてな、そいつを狙って時空を超えて来たんだと」
「ふーん。遠路はるばるご苦労なこったね」
「未来から来た殺人マシーンの魔手が少年に迫る!そこに立ち塞がるはこちらも未来から遣わされし最強の戦士シュワルツェネッガー!かくして人類の命運を分かつ戦いの火蓋は切って落とされた!デデンデンデデン」
「おいおい別の映画が始まっちゃったよ」

「とにかくべらぼうに強いこのおっさん相手に我らがデップーさんがどう戦うかが今回の肝だぁな」
「そいつぁ面白そうだ。時にこのおっさん、どっかで見覚えがあんだがな」
「目ざといねぇ。こないだ『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ってのがあったろ」
「あのアベンジャーズ軍団大集合のやつだろ。ありゃ滅法面白かったなあ」
「話が横へそれるけどね、道具屋の丁稚の与太郎も観に行ったんだとよ」
「へぇ。でもあいつシネコンもない田舎から出てきたばっかりでアベンジャーズのアの字も知りませんってたぞ。そいつがいきなり『インフィニティ・ウォー』なんざ観ちまってわかんのかい」
「それがね、見たこともねぇ奴が次から次から出てくるもんだから“なにコイツ!めっちゃ強いやん!”ってたまげてるうちに終わっちまって、結構面白かったんだと」
「そういう純粋な鑑賞ができるってなぁある意味うらやましいね。で、それとこのおっさんはどういう関係があんだい」
「おっといけねぇ。その『インフィニティ・ウォー』にサノスって悪の親分がいたろ」
「あのやたらガタイのいい飯場の親方みてぇな親父かい?」
「それをやってたのが今回のケーブルと同じジョシュ・ブローリンなわけよ」
「へぇ。助手のくせに売れっ子だなあ」
「助手じゃなくてJosh」
「発音がネイティブだね。しかしマーベル映画の2大ヒットシリーズの両方で悪役を張るなんざ大したもんだ」
「全日と新日の両方でヒールを張ったタイガー・ジェット・シンみたいなもんさね」
「プロレススーパースター列伝かい」

「で、今回の吹替え版なんだがね、主役のデップーはもちろん加瀬康之が続投。そんでケーブルには大塚明夫の大将がお出ましだ」
「おー、そりゃおっかねえや」
「脇の面子も豪華だぜ。中村悠一に三宅健太に三上哲に田村真…」
「おいおい何だそりゃ。どっかで聞いたような名前だな」
「あったりめぇよ。キャプテン・アメリカにマイティ・ソーにドクター・ストレンジにブラックパンサーだ」
「当たり前っておめぇ、いいのかいそんなことして」
「あっちだって同じマーベル映画だ、野暮なこたぁ言いっこなしよ」
「そうは言ってもなあ。そこは大人の事情ってモンが…」
「あと佐古真弓様もお出ましだぜ。真弓様ったら初代のブラック・ウィドウだろ。それがアベンジャーズの一作目ん時に(ピー)が(ピー)して」
「待て待て待て!危ないこというんじゃないよ。おめぇは何かい、本気でこの寄席を閉めさせたいのかい」
「…これ寄席だったの?」

お後がよろしいようで。
(日本語吹替え版のスタッフ・キャストはこちら)

 
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