藤原啓治さんインタビュー

藤原さんインタビュー

 
CS映画専門チャンネル・ムービープラスで、「もっと吹替えで映画を観たい!」という視聴者の要望に応え、特定の声優をフィーチャーする新企画「吹替王国」が8月から始まります。

 
記念すべき第一弾では、『アイアンマン』シリーズや『シャーロック・ホームズ』シリーズではロバート・ダウニーJr.の吹替えを、『ダークナイト』ではジョーカー役のヒース・レジャーの声の吹替えを担当した藤原啓治さんをクローズアップ。放送に先立ち、藤原啓治さんにインタビューを行いました。
 

 
 
───ロバート・ダウニーJr.を演じる上で注意している点はありますか?
昔から好きな俳優の一人だったので、(声を)アテさせてもらえる機会が多いのはうれしいなと思っています。
ロバート・ダウニーJr.は、軽い部分があって、どこか真剣味に欠けていて(笑)、皮肉っぽくて、ひねった表現が多いと感じていました。以前、ブレイクする前にも一度吹替えを担当したことがあったのですが、その時の印象とほとんど変わっていないですね。
細かい表現をする表情の魅力などを意識して吹替えをしています。

藤原さんインタビュー  藤原さんインタビュー

───吹替えというお仕事ならではの醍醐味を感じることはありますか?
声を担当する俳優の演技をなるべく再現するよう意識しています。アニメとの違いは、実写だと表情の動きが細かいので、そのニュアンスを日本語の中に混ぜ込むようにしながら、実際に演じている俳優のお芝居を損なわないように演じています。その作業が面白いですね。
 
───吹替え仕事の難しさや苦労したことはありますか?
ロバート・ダウニーJr.のように何度も演じていると、彼のお芝居の質や傾向というか、役柄が変わっても変わらない持ち味がわかってきます。でも、その持ち味をあまり踏まえ過ぎない方がいいと思いますね。演じている俳優さん達も、毎回同じではなく変化を望んでいると思いますので。
「この俳優さんは、こんな感じのお芝居でしょ」となってしまうのが一番良くないですよね。そんな決めつけは吹替えをやる際にはマイナスになることがあると思います。
役作りも含めジョーカー役は苦労しましたね。ヒース・レジャーの吹替えは以前にも演じたことがありましたが、ジョーカーの吹替えでは、(演じるのが)ヒース・レジャーだとは思わずにアテました。彼のあの演技を見たら、その通りにアテるのは無理な話しなんですが(笑)。そんな切替えも重要ですね。
『ダークナイト』の吹替え収録の準備では、久しぶりにこんなに観た、というくらい繰り返して映画を観た記憶がありますね。舌打ちというか、舌を鳴らすような仕草が多くあって、台本のセリフの間に“舌”、“舌”とマークを書き入れました。苦戦したのは、原語の発音の時は舌が前にある状態で、セリフの終わりに舌打ちができるのですが、日本語だとセリフ終わりのポイントで舌が奥に引っ込んでいて音が出しづらい時がありましたね。

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───ヒーローと悪役、正反対の役柄を演じる気分はいかがですか?
悪役の魅力は、どこまで「早くやられてしまえ」と観ている方に思わせることができるかだったり、ヒーローを引き立てることだと思います。吹替えることで、悪役のイヤな部分をふくらませることができればいいなと思って演じますね。僕自身が演じていて好きなのは、お芝居に遊びを入れることのできる悪役や、ダメなヒーロー、くよくよと悩むヒーローがいいですね。思い悩む人を演じることが好きです。

藤原さんインタビュー

───キザなセリフ等に抵抗感はありますか?
(作品の)世界でのリアルであるセリフであればすんなりと出てきますね。普段使うとなれば、抵抗のあるセリフもありますが(笑)。
 
───アニメでもご活躍の藤原さんですが、役柄の切り替えでご苦労はありますか?
切り替えているつもりでも口調が残っているときがありますね。ジョーカーの収録時は意識していない所で、ジョーカーのような話し方をしていました(笑)。
でも、スタジオで別の作品の画を見ればガラリと変わります。吹替えはメイクをするわけではないので、その分切り替えや抜け出すのもやりやすいかもしれませんね。
 
───藤原さんの考える「吹替版の魅力」を教えてください。
動きの速い作品を観ている時は吹替えの方がいいなと思う時がありますね。純粋に映画の魅力を伝えることができるというのが吹替版だと思います。
 
───「ふきカエル大作戦」サイトは声優志望の方にも多くご覧いただいていますが、そういう方たちへの一言をお願いいたします。
その役者さんがどんなお芝居をやりたがっているのかを見て欲しいですね。声のトーンや、表情を見ろと、講師をする時はいつも言っています。セリフをしゃべっている時の表情のニュアンスを加えていけるように、と教えますね。観察することが必要になります。
せっかく声の仕事をやるなら、アニメでも映画の吹替えでも色んな事をやれた方がいいと思っています。
 
───吹替えへの取組みや吹替え仕事に対する、藤原さんならではの矜持はありますか?
映画に魅力を感じていただけるように努力しています。
自分自身の我を通すのではなく、完成した映画に対して失礼にならないようにお芝居に取り組んで映画自体が魅力的に見えるようにするべきです。ロバート・ダウニー・Jrやヒース・レジャーの素敵なお芝居や存在を再現するべきだと考えます。
例え話ですが、吹替え版を観たおばあちゃんが「この外人さん、日本語上手ね」って(笑)、そういうのが一番いいです!
 
───「いつも字幕で観ている」という方に、吹替版のアピールをお願いします。
声優さんがきっかけでも良いと思いますね。誰か好きな声優さんの吹替え作品を観て欲しいです。吹替版には、まず誰もがわかるように噛み砕いた翻訳があるので、説明が不足している字幕のせいで映画の内容に追いつけなかった、ということがありません。そういうことをしないのが吹替えのいい所だと思います。説明はいらない、字幕でいい、という人にも、さっきも言いましたが、声優さんの“芸”を観るという観点で楽しんで欲しいですね。僕も、もっと芸を磨いて、あの人の声をここで聴きたいという、そんな俳優になりたいです。
 
───「吹替王国#1 声優:藤原啓治」をご覧になる方へ
「藤原啓治」で観てくれる吹替えファンの方も、初めて吹替えで観る方も、映画自体も面白くてとても素敵なので、ぜひぜひ楽しんでいただきたいなと思います。
タイトルが気恥ずかしいですね。第一弾じゃなくて、第三弾くらいがちょうどよかったんじゃないかな(笑)
 

藤原さんインタビュー

[プロフィール]藤原啓治(ふじわらけいじ)
声優、俳優、ナレーター。10月5日生まれ、東京都出身。
代表作は「クレヨンしんちゃん」野原ひろし、「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」レノなど。
アニメやゲームはもちろん、ロバート・ダウニーJr.やヒース・レジャーといった映画俳優の吹替えも数多く担当している。
 

※こちらの特集の放送は終了しました
CS映画専門チャンネル・ムービープラス「吹替王国」
#1 声優:藤原啓治

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