吉田Pのオススメふきカエル

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『大ヒットアニメシリーズ対決・2019夏の陣』

長かった梅雨もやっと明けて、世は夏休みの真っ最中。年末年始と並び、映画館が繁盛するシーズンでもあります。特にこの夏はあちこちに新しいシネコンが続々とオープンし、やれIMAXだ4DXだドルビー・シネマだと賑やかなのはファンとしてもうれしい限り。そんな夏休み、ファミリーで観るにはぴったりの定番アニメを2本、御紹介します。

吉田Pのオススメふきカエル

『トイ・ストーリー4』
監督:ジョシュ・クーリー
声の出演:トム・ハンクス ティム・アレン
7月12日より公開中
→ 公式サイト

新たな持ち主ボニーを見守るウッディたちの前に現れたのは、彼女の一番のお気に入りで手作りおもちゃのフォーキー。しかし彼は自分をゴミだと思い込み逃げ出してしまう。フォーキーを探す冒険に出たウッディは、一度も愛されたことのないおもちゃや、かつての仲間ボーとの運命的な出会いを果たす。そしてたどり着いたのは見たことのない新しい世界だった。最後にウッディが選んだ“驚くべき決断”とは…?

あれ、何か久しぶり…と思ったらそれもそのはず。前作『トイ・ストーリー3』が公開されたのは今から9年前でした。ちなみに一作目の『トイ・ストーリー』はなんと前世紀(!)の1995年でしたから、かれこれ四半世紀近く続いている人気シリーズ(と言っても全部で4本ですが)なのですね…一作目を10歳で観た子供がもう30代半ばですから、今回の『4』は自分の子供と一緒に観ました、なんて楽しいことになってるかもしれません。

思い起こせば一作目公開時も「うわCGアニメってこんなことまで出来るの!」と驚愕したものですが、それから25年もたてば技術は飛躍的に進歩します。今回ウッディは終盤で“ある重大な決断”をするのですが、なんとそのシーンに台詞がほとんどない!本来的には無機物であるはずのおもちゃをCGで描いて、その微妙な表情の変化だけで彼の心情を見事に表現しているのです。生身の俳優だってここまでの芝居ができる人はそうはいないんじゃないか、と思わせてしまうほどの“名演技”。いや参りました、これは。

キャラクターにここまでの芝居をされてしまうと、そこに声を当てる声優は責任重大ですよね。オリジナル版でのウッディの声はもちろんトム・ハンクスですが、彼は本作についてのインタビューで「台詞を録音したのはもう3年半も前なので…」と語っていました。ご存知のようにアメリカの劇場版アニメは基本的に台詞を先に録って、それに合わせて画を作るプレスコ方式で作られます。アカデミー賞を二度も受賞している名優が吹き込んだ台詞と、驚くほど微細な表現が可能な最新のCGで作られた、ウッディというキャラクター。そこをさらに吹替えで上書きするわけですから、担当した唐沢寿明氏のプレッシャーたるや如何ばかりか。

しかし唐沢氏を始め日本語版出演者の皆さんはこの難題を見事にクリアして、オリジナル版と比べても全く遜色のない吹替え版が完成しました。特に今回のゲストキャラであるアクション・フィギュアのデューク・カブーン。オリジナル版の声はキアヌ・リーヴスで、『ジョン・ウィック』で凄まじいアクションを見せている彼が演じていること自体が一つの“ネタ”になっているため、声を聞いた瞬間に「あ、キアヌだ」とわからないといけません。それを吹替え版でやるには声優は当然「あの方」でないといけないわけで、これがまた期待にたがわぬ名演なのです。必見。
日本語版吹替キャストはこちら→話題のふきカエ『トイ・ストーリー4』

 

吉田Pのオススメふきカエル

『ペット2』
監督:クリス・ルノー
出演:パットン・オズワルト ハリソン・フォード
7月26日より公開中
→ 公式サイト

犬のマックスと相棒のデュークは、結婚して子供が生まれた飼い主のケイティと楽しく穏やかな日々を送っていた。ある日ケイティ一家と家族旅行に行った先の農場で、真面目で威厳溢れる農場犬のリーダー、ルースターと出会う。心配性で臆病なマックスがルースターから自分の行動と態度で大切なものを守るとはどんなことなのかを教わる中、ある大事件が起きる…

今のアニメ界でディズニーが東の横綱とすれば、西の横綱は『怪盗グルー』シリーズのイルミネーション・スタジオでしょう。そのイルミネーション作品としてはグルーと並ぶ大ヒットとなった『ペット』、その続編が登場します。飼い主たちが留守の間にペットたちが繰り広げるドタバタの大冒険。可愛いけどとんでもなく個性的な面々が、またまた楽しい大騒ぎを見せてくれます。

今回ゲストキャラで登場するのは、農場で飼われている農場犬のルースター。威厳あるリーダーの声を、オリジナル版では御大ハリソン・フォードが演じています。彼の長いキャリアでも声優としての出演は今回が初めてというのがちょっと意外ですが、まあおそらく周りが勝手にビビッちゃって今まで頼めなかったんじゃないですかねwそのルースターの声を吹替え版で担当するのは内藤剛志さん。そういえばこちらも刑事ドラマでよく捜査課長(=リーダー)をやられてますよね。

本作の吹替え版には、その内藤氏や永作博美さんといった俳優勢、若手(宮野真守、沢城みゆき)からベテラン(中尾隆聖、銀河万丈)まで多彩な顔ぶれの声優勢、さらにお笑い界からバナナマンのお二人まで加わって豪華メンバーが揃いました。それぞれにハマり役ですが、中でもパグ犬のメルを演じているかぬか光明さんはまさに奇跡のようなキャスティングです。ご本人を知っている方はお分かりと思いますが、キャラと声優の見た目が完全に一致してるw

私見を申せば、実写映画の吹替えに比べて海外アニメのそれは、より責任重大だと思うのですね。実写版なら声を吹替えても映像には俳優本人の顔が残りますが、これがアニメだと、声だけで参加しているトム・ハンクスもハリソン・フォードも、吹替えられた途端に「存在そのものが消えてしまう」わけですから。その過程でオリジナルの声優に最大限のリスペクトを払いつつ、演技のニュアンスをくみ取って日本語の台詞に生かしていく…なんて書くとそういうお前は出来てんのかと言われちゃいますが。いやワタクシのことはともかく、今回ご紹介した二本でその素晴らしい成果をとくとご覧ください。
日本語版吹替キャストはこちら→話題のふきカエ『ペット2』

 

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一作目は25年前。あの頃キミは若かった…かと言われれば実はそうでもないですw