飯森盛良のふきカエ考古学

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レナウンよさらば。憂き世を忘れる懐かし洋画劇場CM廃人のすゝめ、の巻!

昨年末、レナウン破産というニュースがありましたねぇ。日曜洋画劇場世代にとっては、また一つの時代が終わったというか、TV洋画劇場黄金時代は遠くなりにけりというか…寂寥。

あのニュースの後、またワタクシの悪い癖が出てしまいまして。それは何かと申しますと、YouTubeで昔のCMをずーーーーーーっと見続けるという、生産性皆無な趣味。「あ〜昔は良かった昔は良かった昔は良かったなあ!!!!」と今のコロナの世を呪いながら、子供時代のCMを何時間も飽きずに見続けるのです。

前にも書きましたが、個人的には実は、当時のCMも大っっっ好きなんです。

90年代後半頃からでしょうか、「映画はノーCMノーカットで、字幕で見るのが正しい。ってか映画館で見てこそ本物の映画体験!」といった言説が、一時的に力を持った時代がありました。

この場の皆様には釈迦に説法ながら、まず「いや〜、ふきカエも、本っ当に良いもんですね!」という弁護側の理路整然たる反対尋問が、当時すぐに出されました。不肖ワタクシも弁護側として、ふきカエの発掘と再生を、微力ながらも置かれた立場で07年以降は粛々とやってまいったつもりです。字幕原理主義は90年代後半〜ゼロ年代まで、かなり短期間しか続かなかった印象が。

一方「ノーカットこそが正義 いい時代になったものだ 」論はまだ言われてますね。「いい時代になったものだ」と言うワケは、この主張が、レンタルが津々浦々に普及し、TV洋画劇場と違ってエンドクレジットまで映画をノーカットで見れるようになった時期に広まったものだから。でも、この場にお集まりの柔軟な思考の皆様ならば、必ずしもノーカット=正義ではない、カットされることでテンポが良くなったTV洋画劇場版なんて幾らもある、とご存知のはず。最近ではたまに民放で映画やると「カットすんな!」とSNSで文句言う人が山ほど現れますが、今の人は、カットされたことで逆に良くなった映画の存在を知らないのかもな。

「映画は映画館で見てこそナンボ」論は、今やNetflixの天下ですし、そこにコロナ禍まで襲来して、これも、過去の価値観になるのでしょうな…。ハリウッドのメジャースタジオも続々と配信で映画をファンに届けるサービスを本格化させていますしね。

好むと好まざるとに関わらず、時代は変わり、人の世は移ろう。それは止められないのでしょう…地上波の夜9時洋画劇場が、レンタル普及前に果たしていた社会的役割を終えて、ワタクシのようなファンに惜しまれながらも、次々と店仕舞いしていった時のように。同じことが、今度は映画館で起きると思います…好むと好まざるとに関わらず(俺だってTV洋画劇場には無くなって欲しくなかったさ!でも仕方がない…)。ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

で、CMの話。さすがに、CMが映画の途中に入ってるのが良かった、入ってるからこそ逆に良かった、映画がズタズタに寸断されて日本のタレントによる商品CMが何度も入ってくることがむしろ良かった、と主張している変わり者を、ワタクシ以外にはあまり見かけたことがないんですけど、私は好きでした、あの愛おしいCMたちが!世はバブルでしたから作りが豪華でねぇ。良い時代でした。なので、去年レナウンが潰れた時は心に穴が空きましたよ…。バブル期にはアパレルとしては世界最大の売上高を誇ったのに…。祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

でも惜しんでも過ぎ去りし日々は二度と返らない。ならばしょうがない!懐かしTV洋画劇場ふきカエ発掘人としてワタクシ、「YouTubeで懐かしCMも見ながらご視聴いただくのがベストな鑑賞法である!」と、今回ここに推奨させていただきましょう。

YouTubeで「懐かしCM」「洋画劇場+CM」とかで検索すれば、山ほど出てきます。早速お試しあれ。

さぁ、コロナなんて無かったあの時代へ、Back to the ゴールデンパスト!! 懐かし地上波TVふきカエ版を見る前でも、見た後でも良いので、試しにYouTubeでかけっぱなしにしてみてください。心がゴールデンパストに一瞬でタイムスリップできますよ?

ただし、やめられない止まらない、映画懐かし地獄90’sに陥る、禁断の愉しみなので、強い自制心が必要とされます。ノスタルジー中毒の廃人にならないようお気をつけください。光陰惜しむべし、無常迅速にして、時ひとを待たず。

最後に。ワタクシが古巣ザ・シネマを離れ脱藩浪士となりて早数年(この場のロゴも変えてもらわねばな)。実はこの数年間、ふきカエ以外のもう一つの趣味であるK-POPで、アイドルに会いにソウルに行けるツアーの商売、というものを準備していて、あと一歩のところでコロナ襲来、ポシャりました…。ポシャったというか無期延期。

とはいえ、ふきカエ絡みのお手伝いもずっとしていて、実は某芸能人ふきカエで「ついにあれも新録されるんだ!」というデカい計画が実現寸前までいってたのですが、これも話が飛んだ…。

さらに、ふきカエでは別のチャンネルさんのお手伝いもし始め、この春、そこでは初めてのプロデュースとなる、懐かしふきカエ究極の大発掘SP的な企画を進めており、いろいろと準備してた矢先なんですよ。『OK牧場の決斗』テレ東版&日テレ版&テレ朝旧版&テレ朝新版ぜんぶやる予定、いやテレ東版は古すぎてテープコンディション悪く復元不能で断念か!? とか。あと『十戒』テレ朝版とフジ版やるとか。『フォレスト・ガンプ』のザ・シネマの時に発掘した日テレ版とあわせて今度はフジ版もやる、とか。山ほど。

飯森盛良のふきカエ考古学

字幕すら未ソフト化という激レア映画、バート・ランカスター西部劇『追撃のバラード』やらパゾリーニ監督らのオムニバスのイタリア式コメディ『華やかな魔女たち』のふきカエも発掘して放送するぞ、なんてことまで。『華やかな魔女たち』は字幕版と昔の地上波ふきカエ版でオムニバスの順番が違ってる!とか。

…が、こっちはこっちで、最近、国会を騒がせている、スターチャンネルさんでの放送ってことで、とてもではないですが大々的に宣伝できるような雰囲気ではありませんで、非常にひっそりと放送されることになりそうです…。

かてて加えて、映画秘宝さんと組んで、今年はいろいろと番組なども作っていこうと思っていたところ、あちらさんもちょっとした不祥事があって、頓挫。

これはワタクシ、前世に何かヤラかしてますね…。

かくして傷心のワタクシは、今日もYouTubeで30年前のバブル期のCMを何時間も見続けては、現実から逃避し、少年の日の思い出に引きこもるのです。気分はもう男版『ヤング≒アダルト』(シャーリーズ・セロン CV:魏涼子)ですよ。あ〜昔は良かった昔は良かった昔は良かったなあ!!!!

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