山寺宏一さん&大塚明夫さんインタビュー

ふきカエルインタビュー山寺宏一さん&大塚明夫さんCS映画専門チャンネル・ムービープラスで、「もっと吹替えで映画を観たい!」という視聴者の要望に応え、特定の声優をフィーチャーする「吹替王国」第11弾!

今回は、「吹替王国」建国2周年記念のスペシャル企画!
先日テレビ朝日で放送された、声優が選ぶ声優ランキング番組で堂々の1位を獲得、人気・実力ともに不動の地位を確立した声優界のレジェンド山寺宏一さんが登場!
2周年を記念して、山寺さんと同世代で盟友の大塚明夫さんも登場!
お二人が共演した映画『マスク』のソフト未収録の地上波吹替版を放送するほか、貴重なおふたりの対談番組も放送!
その放送に先立ち、ふきカエルでは山寺宏一さん、大塚明夫さんにインタビューを行いました!『マスク』収録当時の様子や、お互いの印象、共演したい作品などを語っていただきました!

 

インタビューの前に特別番組「おかげさまで建国2周年! 吹替王国SP #11 山寺宏一 特別ゲスト:大塚明夫」の模様を少しだけ!

——『マスク』収録時の思い出についておきかせください
大塚明夫さん(以下・大塚さん):若かったなぁっていうことですね。
山寺宏一さん(以下・山寺さん):明夫さんと一緒にやれてすごく嬉しかったですよ。ほんとに若い頃からずっと一緒にお互い頑張ろうって励まし合って切磋琢磨してやってきましたから。
大塚さん:だから、仕事が一緒だと燃えたよね。
山寺さん:明夫さんがいるんだからより頑張らなきゃっていう気になりましたね。

——当時の現場で印象深かったことはありますか?
大塚さん:あまり覚えてないんですよ。シーンでは覚えているのですが。
山寺さん:一緒にやったの(シーン)は覚えていますね。とにかく、演じるときは一生懸命だもんね(笑)。

——声優としてお二人は戦友のような間柄だと思いますが、お互いにお芝居について変わったなと思うことはありますか?
大塚さん:僕が思う山ちゃんの芝居は、深みが出てきて、味がよくなったように思える。あまりにも何でもできるから、そこばかりに人の目はいってしまうけど、それは当然で。こう言ってしまうと上からみたいで嫌だけど、「すごく良い、一緒にやりたい」と思いますね。

——どんな役でもやれるのが山寺さんの印象ですか?
大塚さん:そうですね。幅が広いですよね。

——山寺さんはいかがですか?
山寺さん:味とか深みとかを最初から持っているのが明夫さんですからね。
大塚さん:そんなことはないよ(笑)。
山寺さん:その味が益々深くなったという感じでしょうね。先輩の声優さんたちに僕が感じていることと近いところなんですよね。明夫さんとは「それいけ!アンパンマン」でも一緒ですが、存在感と、ギャップも持っていて、でもそれが作った感じがしない。なんでも自然に見えますね。この世代でこんなに違和感なく吹替えする人はほとんどいないと思います。どんな役をやっても明夫さんは無理をして作っている感じが一つもなく、自分の芝居をしているのに役にハマってしまう。そういう人は我々の世代には他にいないんじゃないかと感じていますね。

——山寺さんの連載『山寺宏一のだから声優やめられない』では大塚周夫さんも参加してお三方の対談が掲載されていました。周夫さんは「常に10年先を見て進まなきゃ」とコメントされていましたね。
山寺さん:あ~目先しか見ていないですね(笑)

ふきカエルインタビュー山寺宏一さん&大塚明夫さん——声優としてこれまで進んで来られて感じることはありますか?
大塚さん:僕はね、「生き残らなきゃ」とすごく思ってる。そのために、例えば今30歳だとしたら、「30代を怠けたら、40代はないぞ、40代のときは今を怠けてたら、50代で仕事がないぞ」って言い聞かせてるところがある。うちの親父が亡くなった日は仕事をした日の晩だったんですけど、僕も現役のままで逝きたいなと・・・。いつまでも現役でいてやる!と、すごくそんな風に思っています。でもいくら僕が思っていても、決めるのは周りなんですよね。
山寺さん:ほんとにそうですよね。
大塚さん:そのために向上心への燃料投下を絶対に怠ってはならないと思いますね。
山寺さん:自分でどう思っても、お仕事はいただくものですからねえ。いつまでも使いたいと思われるような存在でいなければなと思います。ここにきてまた吹替えの難しさを感じていますね。何が良い吹替えなのか・・・自分の個性も分からないし・・・。とにかく与えられた仕事を一生懸命やるだけなので・・・。年を重ねてきて、見る目は肥えてきていると思うんですよ。色々な経験もしたし。色々なものを冷静に見られる。昔は勢いで、「やれているじゃねえか」と思っていたものが、今では、冷静に自分の事を見られるようになってきたし、周りの上手さもすごくわかるようになってきました。例えば顔出しの仕事を時々やらせてもらって、舞台をやったりしては自分自身の出来なさ加減もわかって、「声の仕事だけは何とか」と思うけれど、改めてその声の仕事も難しいなと思うんです。でも「いやいや、俺はできる」と自信を持つサイクルがあって、何かの仕事をきっかけに「俺はやれる!おお、いいじゃん!」って自分を鼓舞したり。でも今は難しいなって感じている・・・。そういうものなんだろうなと思いますけどね。答えは出ないですね。何でも「こんなもんだ」と思ってはいけないと思いますけどね。

——対談が決定した際の感想、収録が終わった感想をお願いします。
山寺さん:サプライズってことで、明夫さんがいることはさっき知ったからね(笑)。一人でインタビュー受けているときにいきなりカメラを構えたスタッフさんが現れて「え、誰が入ってきたんだろう。収録してるのに」って思ってたら「あれ?明夫さんがいる」ってなって(笑)。明夫さんが以前にこの“吹替王国”に出演しているのを知っていたので、様子を見に来ただけかなと思ったら、この後に対談です、と言われて「嘘でしょ!?」ってビックリしました。やられましたね(笑)。
大塚さん:上手くいってよかった(笑)。
山寺さん:嬉しかったですよ。ほんとに僕は(大塚さんを)公私共に好きなので。仕事仲間としても好きだけど、人間としても何でも相談できる方なので。

——大塚さんはサプライズが成功してほっとしていますか?
大塚さん:上手くいってよかったなという思いがいっぱいで張り裂けそうなんですけど(笑)。先月に朗読劇を(山寺さんと)一緒にやって、一昨年もお芝居を一緒にして、お互いにちゃんとやっているなって確認し合っているところがあるので、対談したからといって変わったことはあまり感じなかったですね。
山寺さん:二人で話し込むと皆さんがいるのを忘れて、言っちゃいけないことも言いそうになって怖いですね(笑)。
大塚さん:マイクが入ったままだったりしてね(笑)。
山寺さん:明夫さんにだったら言えるってことはいっぱいあります。あと明夫さんに魅力を感じてもらわないとダメだなと思います。声の仕事も、吹替えも、舞台も、山寺と一緒にやれて楽しいと思ってもらわないとだめだなって思います。明夫さんも気を使って本当にダメな時は言わないんでしょうけど、本当に色々なことに鋭いので。
大塚さん:いや、鈍いよ(笑)。
山寺さん:いや、鋭いよ(笑)。

——お互いの出演作品で印象に残っているものはありますか?
大塚さん:一緒に出演した作品でいうと『青いドレスの女』っていうデンゼル・ワシントンの映画がありまして、その作品は山ちゃんがデンゼル・ワシントンをやっているんですけど、この映画ではデンゼル・ワシントンの喋り方の癖を山ちゃんが本当に上手に捕まえています。最近の(デンゼル・ワシントン)作品の吹替えが、よく俺に回ってくるなと思っていますが(笑)。なぜ『青いドレスの女』をそんなに覚えているかっていうと、自分が演じた役が気に入っているからです(笑)。
山寺さん:明夫さんの作品で一番・・・なんだろう、いっぱいありすぎますね。
大塚さん:それはお互い様でしょ(笑)。
山寺さん:僕が出ていなくても、ニコラス・ケイジの映画とかをテレビで観ていると、自分でも演じたからこそですが、「あー、明夫さんの吹替えの方が全然いいわ」って思いましたね。『ザ・ロック』でもニコラス・ケイジを演じた(2000年日曜洋画劇場版)のですが、それから明夫さんが彼を演じたソフト版を観て「あーこういう感じだ」って思いました(笑)。あとは一緒に出演した『48時間』はもちろん印象にありますね。
大塚さん:バディムービーはやりたいね。
山寺さん:あとはやっぱり『攻殻機動隊』ですよね。
大塚さん:うん。やりたくてうずうずしてる。
山寺さん:トグサは普通の感じでやってるけど、僕の中ではバトーはもう明夫さん以外絶対考えられないですね。
大塚さん:あ、そんなこと言ったら・・・
山寺さん:そうか、違うバージョンがありますね(笑)。ごめんなさい。色々なバージョンがあってもいいですが、僕はやっぱり明夫さんのバトーが大好きですね。「素子~~~!!」っていうやつね。
大塚さん:そんなに張り上げなくてもと思ったんだけど、やってくださいって言われたから、仕方なく演じたんですけどね。
山寺さん:身近で見ていて、作品に対する愛をひしひしと感じて、かっこいいんですけどそれだけじゃないんですよね。渋くて、愛が込もってるって最高ですよね。クールで渋いのに心の中にある愛が出てきている。漢だな。

ふきカエルインタビュー山寺宏一さん&大塚明夫さん——お互いにライバルだと感じたりすることはありますか?
大塚さん:ライバルであり・・・
山寺さん:ありますね。ニコラス・ケイジ、デンゼル・ワシントンとこの2人でも被って演じることがありますしね。他にもたくさん演じられている方はいらっしゃいますけどね。
大塚さん:負けたくないっていうよりも何が勝ちだか負けだか分からない世界なので、自分がやる以上は自分の仕事を精一杯全うすることがやっぱり礼儀だと思います。勝ち負けを何で判断するか難しいじゃないですか。お互いに手を抜かずにきちっとやることがお互いにやるべきことだと思いますし、勝ったっていうよりは、「手を抜くなよ」って思うことがもしあればお互いに言える関係だと思うんですよね。「抜いてたねぇ」って(笑)。
山寺さん:それは言われないようにしないと(笑)。複数の声優が担当してやっていると負けたくないっていうのはありますけど、明夫さんには思わないんですよ。なんでだろう(笑)。ニコラス・ケイジ、デンゼル・ワシントンと他にもいくつかあると思うんだけど、明夫さんが良くて僕がダメというか「うん、まあそうかな」っていう感じで。明夫さんが唯一の人かもしれない。
大塚さん:俺もそうだな、考えてみれば。
山寺さん:でも明夫さんがジム・キャリーを演じたら、これには「えー、何でー」って思うかな。こっちまで来ないでーって思うかな(笑)。
大塚さん:それは、無いから大丈夫。お手上げです、手も足も出ない(笑)。

——先ほどバディムービーがいいなとおっしゃっていましたが、もし自分たちで選べるとしたらやってみたいと思う作品はありますか?
大塚さん:セリフ一丁だけを武器として持って戦わなきゃならない僕らの仕事っていう意味でいったら、バディムービーもいいけど法廷で弁護士と検事としてバチバチバチっていうのをやってみたいですね。捲くし立てるようなね。
山寺さん:どういうのがあるかなぁ。コメディもやりたいですね。この間、朗読でやった作品がすごく面白いんだけど、深いというか…
大塚さん:ブラックコメディだね。
山寺さん:ですね。そういう感じの作品をやりたいですかねぇ。笑いもあるけど、実はすごくシリアスな、リアルな現状を抱えていたりする・・・そういう作品を二人でがっちりやってみたいですね!

この後、引き続き山寺さんに、今回の「吹替王国」で放送される作品についてのより細かいお話しなどを語っていただきました。
続きは後編で!

2017年8月20日(日)夕方4:45~深夜1時放送
ムービープラス
「2ヶ月連続!吹替王国 大感謝祭 吹替王国 #11 声優:山寺宏一」

※番組の放送は終了しました。
movieplus.jp