佐古真弓さんインタビュー

ザ・シネマにて、12/3(日)夜6:45~『プロメテウス[ザ・シネマ新録版]』を放送!

佐古真弓さん

プロデューサーである飯森盛良氏による、「ふきカエレビュー 飯森盛良のふきカエ考古学」はこちらからお読みください!

その飯森氏の熱い想いから制作された『プロメテウス[ザ・シネマ新録版]』。
放送に先立ち、主演のノオミ・ラパスの吹替えを担当した佐古真弓さんにインタビューを行いました!

今回の収録について、ノオミ・ラパスについて、本作の見どころ(聴きどころ)等々、貴重なインタビューを放送前にぜひお楽しみください!

 
 

——放送用に新録版が制作されることは少なくなってきましたが、今回参加されていかがでしたか?
収録には普段と同じ気持ちで臨みました。以前は、金曜ロードショー版や日曜洋画劇場版、ゴールデン洋画劇場版、ビデオ版など、複数の吹替え版がありましたので、視聴者の方も楽しんでいただけていたのではないでしょうか。
私たち声優にとっても新たなチャンスになりますし、とても良い機会を頂くことができたな、と思います。

——印象に残ったシーンはありますか?もしくはここを観て(聴いて)欲しいシーンは?
見どころの多い作品だと思いますが、私が演じたエリザベス・ショウがエイリアンを産む(笑)ところですね。叫びながらも、セリフがあったので、叫びや息に、言葉が埋もれないように注意しました。

——個別に収録する、いわゆるハリウッド作品のようなスタイルが増えてきていると思いますが、個人的にどのような収録スタイルがお好きですか?
今回は出演者が揃っての収録でした。揃って収録することに慣れているということもありますが、相手役の方のお芝居を間近で聞けますし、それを受けて、自分が考えてきた芝居をふくらますことができます。大先輩の演技にもふれることができ、マイク前での佇まいやお芝居を吸収することで、私自身も鼓舞されて頑張ろうという気持ちにもなります。そういった意味でも、出演者が揃って収録する方が、演じる側の立場としては良いものだと思います。先輩の芝居をたくさん見て、どんどん盗んでいきたいと思います。

佐古真弓さん

——アニメやゲーム、舞台でもご活躍されていますが、作品に臨む際に違いはありますか?
舞台には、舞台のルールや稽古のやり方があり、アニメや吹替えの収録には、舞台とは違うルールや収録の流れがあります。事前準備もそれぞれです。表現の仕方には、明確な違いがありますが、「演じる」ことの基盤は同じだと考えています。アニメは、吹替えとは違い、効果音も無く、画も未完成という環境の中での収録がほとんどですし、その中で、作り手の要求に瞬時に応えなくてはなりません。想像力と瞬発力が必要です。もっと経験を積んで、学ばなければと思っています。
舞台の場合は、1カ月といったような期間をかけて、稽古で細かく積み重ねていきますが、吹替えやアニメの場合は収録期間がタイトな場合もあるので、収録までの事前準備も含めて、限られた時間の中でいかに良いものを創るかという違いもあります。
吹替えの場合は、画が完成していますし、音楽もありますから、このシーンはこう盛り上げていくんだな、ということを想像した上で収録に臨めます。

——今作のノオミ・ラパス、またスカーレット・ヨハンソン、フェリシティ・ジョーンズ、レイチェル・マクアダムスの吹替えを多く担当されていますが、アテやすい女優さんはいらっしゃいますか?
全員作品ごとに違う表情を見せるので、いないです(笑)。何作も担当させてもらっていると、俳優さんごとに、演技のリズムやクセのような各々の個性が見えてくることもあるのですが、「今回はアクションが多い役だな」と思えば、次の作品ではコミカルな役だったり、理知的な女性かと思えば、衝動のままに行動してしまう女性の役だったり…。毎回新鮮な気持ちで演じています。
ノオミ・ラパスさんは、本当に毎回、違う顔を見せてくれます。今作の『プロメテウス』でも、女性らしさを持ちつつ、学者という役なので、タフになりすぎないように気を付けて演じました。

——ご担当された作品のジャンルも様々ですが、お好きな映画のジャンルはありますか?
自分が観るときは、何でも観ます。でも、仕事でシリアスが続いたらコメディが観たくなったり、仕事に影響されることが多いですね。

——声の仕事をするきっかけを教えて下さい
文学座という劇団に在籍していた時に、NHKの海外ドラマに呼んで頂いたのが初めての仕事でした。マイクの前にどうやって立つのか、台本も舞台と違うのでどうやって読むのかも分からない。そんな状態でした。あまりにも出来なかったことが悔しくて、収録後、泣きながら帰ったことを覚えています。でも、そのドラマの同じプロデューサーさんに、また呼んでいただいてチャンスをもらうことが出来ました。最初のドラマは一話完結だったのですが、次の作品はありがたいことに連続ドラマでした。毎週演じていくと、どうやればいいのか、先輩のお芝居も見て、何とか形になってきました。
でも、今それを観たら多分恥ずかしくなるので、(『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』の)リスベットのようなハッカーがいてくれたら、私の役の音声データを全部消してほしいくらいです(笑)。
吹替えの仕事を始めた当時、亡くなった父(佐古正人さん。『レオン』『エアフォース・ワン』のゲイリー・オールドマンの吹替え等をご担当された。)から、しばらく黙り込んだ後に「まだ、早い」と言われたことを覚えています。
芝居の基礎も出来ていないのに、声の仕事をすることはすごく危険だと。それは父が舞台出身で、声の仕事にデビューするのが遅かったので、本人も苦労があって、ベテランの声優さんたちと演じることの大変さを身をもって知っていましたし、それだけ声の芝居は難しいということ、芝居をすることが身についていないのに、演じた気になってしまうことを危惧してくれていたんだなと、今も思い出すことがありますね。基礎をきちんと、土台を作ってからでないと、声の仕事は難しいんだよということを伝えたかったんだと思いますね。

——番組をご覧になる方、このサイトをご覧の方にメッセージをお願いします。
新録ということで、たくさんの方が楽しみにされているかと思いますが、同じ作品でも吹替えている俳優が違うということで、作品の観方、感想も違ってくると思います。そういった部分も楽しみながら観て頂ければと思います。
またこのような企画が出来れば、演じる側としてもとてもうれしいので、ザ・シネマさんに、どしどし「あの作品を新録で観たい!」という声を寄せて頂ければと思います!

 

佐古真弓さん

[プロフィール]
佐古真弓
(さこ まゆみ)
文学座時代より劇団内外の舞台に多数出演。声優としても吹き替え、アニメと幅広く活動。吹き替えでは、スカーレット・ヨハンソン、フェリシティ・ジョーンズ、レイチェル・マクアダムス、ジル・フリントなどを務める。
2017年文学座を退団。フクダ&Co.所属。

 

『プロメテウス[ザ・シネマ新録版]』

⇒ザ・シネマ 特集ページ
→話題のふきカエページ(吹替え全キャスト紹介)

※番組の放送は終了しました。
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