『戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル』放送決定!吹替キングダムインタビュー:楠大典さん

楠大典さんインタビュー
『戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル』放送決定!
1977年にフジテレビ(ゴールデン洋画劇場)で放送された日本語吹替版にムービープラスで新たに追加収録したノーカット吹替完全版が登場!
 
1970年制作の戦争映画『戦略大作戦』。
『ダーティハリー』に出演する直前のクリント・イーストウッド、『特攻大作戦』『M★A★S★H マッシュ』のドナルド・サザーランド、『特攻大作戦』『女王陛下の007』のテリー・サヴァラスが出演、第二次世界大戦中のヨーロッパ戦線を舞台に、ならず者たちが金塊の強奪を狙う、公開から50年以上が経った現在も人気が高い戦争映画である。
 
今回放送するのは、大好評だった『荒鷲の要塞【ムービープラス吹替追録版】』に続いて製作された『戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル』!
1977年10月14日フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」で放送された吹替版をベースに欠落部分を新たに追加録音した待望のバージョンだ。
2023年9月10日(日)夜9時~CS映画専門チャンネル「ムービープラス」で放送決定!
(9月18日(月・祝)朝8:45~再放送あり)
 
『戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル』では、「ゴールデン洋画劇場」版で、大塚周夫さんが演じたリトルジョー二等兵(演:スチュアート・マーゴリン)役に大塚明夫さん、大平透さんが演じたビックジョー曹長(演:テリー・サヴァラス)役に楠大典さん、そして山田康雄さんが吹き替えしたクリント・イーストウッド演じるケリー二等兵役には、『荒鷲の要塞【ムービープラス吹替追録版】』に続いて多田野曜平さんが、この追加収録版にそれぞれキャスティングされた。
 
吹替キングダムでは、収録直後の大塚さん、楠さん、多田野さんにインタビューを敢行。『戦略大作戦』について、そして、見どころと聴きどころ、そして「追加収録」についてお話しを伺った。
皆さんの意気込みをぜひ感じてください。
このページでは楠大典さんへのインタビューを掲載します!
 
 
――『戦略大作戦』という作品は、もともとご存知でしたか?
 
楠大典さん:いや、知らなかったんです。今回初めてフルで見たんですが、昔はこういうタイプの作品がたくさんあったなって思いました。その時代にはその時代の作品があって、悪い意味じゃなくて、戦争というものに対して、どっちが悪くてどっちがいいとか、政治的思想がどうのこうのって言うんじゃなく、ひとりひとりのキャラの関係性とか個性で面白さを出して、ひとつの娯楽作品を作っている。深刻にならずに楽しめる戦争映画っていうのかな。ちょっとコメディ調だったりしてね。
 
――懐かしい感じがしましたか?
 
そうですね。『戦略大作戦』は僕が3歳のときの映画ですけど、昔はこういうのがいっぱいあったなって思いました。テレビドラマの「コンバット」とかもそうでしたけど、ドイツ軍とアメリカ軍が戦うっていうのを、どっちが好きどっちが嫌いではなく、戦闘シーンの面白さを楽しんでいました。僕はミリタリーオタクではないですけど、例えばドイツの武器はどういうものだったのか、戦車だとかその装甲車とか、この映画でもタイガー戦車が出てきましたけど、やっぱカッコいいんですよね。
 
――今回は追加の吹替という形で、伝説の声優さんたちと共演したご感想は?
 
楠大典さんインタビューやっぱり芝居の種類も時代によって違っていて、今これを新たにキャスティングし直して全編をフルで録り直したら、たぶんまったく違うものになると思うんですよ。あの時代の伝説の声優さんたちのこういう芝居って、今の人は難しくてできないんじゃないかな。っていうか、僕には難しかったですね(笑)。
 
今とはいろいろな環境が違っていて、昔はフィルムだったと思うんですけど、当日みんなで1回見て、テストと本番があって、マイクもたぶん1本とかで一緒にやってたと思うんですよ。出番がくると、代わる代わる横から入ってきたりとかしてね。それを考えると、先輩たちは相当な技術でやってるんですよ。
 
しかも昔の作品だから、最初はゆっくり喋るのかなって思ってたんですけど、意外にいざやってみたら早口で早口で、特に僕のやった役(テリー・サヴァラス)が早口なんですよね。これを生っていうか、ほとんどミスをできないような環境でやっていた先輩たちはやっぱりすごいなと。当時を知らないから想像ですけど、台本を見ながらっていうより、セリフをぜんぶ覚えてるぐらいの勢いでやってるんじゃないかな。
 
あと、声優ひとりひとりの個性がすごく出ているっていうか、演技を向こうの人に近づけるっていうより、さらに楽しませようとしている感じがします。当時はもっと遊びがありましたよね。最近は演技のテンションや言い回しを原語の感じでやってくれって言われることが多いんですけど。
 
――今回はテリー・サヴァラスというより、「大平透さんが声をアテられたオッドボール軍曹」を演じられたわけですが、特にご準備された部分はありましたか?
 
僕は大平さんと一緒に録ったことがないんです。作品はいくつも見たことはあるんですけど、印象としては大平さんの作品で知ってるのはアニメが多くて。外画となると、子供の頃は誰がやってるかまったくわからずに見てましたから、テリー・サヴァラスをやっている大平さんのイメージがもともとなかったんです。
 
もちろんダース・ベイダーをやっていた大平さんの声は聞いたことがあるのですが、準備となると、逆にどうしたらいいんだろうと思ってしまっていました。今回は、もともと日本語が入ってるところと字幕しかないところが混ざった完全版を家で見たんですけど、そこでイメージするしかなかったんです。大平さんの演技やイメージがどうこうというより、作品を見て捉えるしかなかったです。
 
――演じる上でのリクエストはありましたか?
 
最初はガッツリ寄せてくれっていう話だったんで、一回「僕にはできません、断ってください」って言ったぐらいなんです。そんなの無理ですもん(笑)。大塚明夫さんがお父さんの大塚周夫さんの代わりをするのはもう何回も聞いていて、すごく上手いのは知ってましたし、多田野さんが山田(康雄)さんの演技を真似るのが上手いのも知ってましたから、僕にはみんなみたいにそっくりにはできないと思ったんですよね。
 
どっちにしろ、あの先輩たちをトレースするのはムリなんです。大平さんは高い音も使うし低い音も使うし、あの芝居の幅は絶対に真似できないっていうか、やっぱり素晴らしい役者さんだなって思うぐらいで、ぜんぜん叶わないです。同じのトーンのニュアンスではやってるんですけど、完全にどこが僕がやってるのかがバレるぐらいには、ぜんぜん違いますよね(笑)。僕はモノマネ師じゃないから、どうしても別物にはなってしまう。
 
でもなんとなく、こういうニュアンスで演技してるんだなとか、たぶん口をこういう風に開けながら喋ってるんだろうなとか、そういうことは意識しました。今回は怒鳴る場面が多かったりとかするので、そういうところちょっとでもニュアンスを近づけるようにしようと思ってました。
 
――演じてみて、楽かった部分はありましたか?
 
本当に喋ってるようにやってるなって思いますし、そこが新鮮で楽しかったです。
これは僕の予想なだけで実際はまったくわかんないですけど、役者さんが足して喋ってる部分もあるんじゃないかな。
 
日本人が見るものですからね。感情の振り幅も、西洋と日本人とじゃ喜び方だってぜんぜん違うだろうし、本来は日本人向けに吹き替えてるんだから。
 
――イーストウッドも山田康雄さんの声で聞いてる方がニュアンスありますね。
 
そうですよね。イーストウッドそのままの声って、ササッって喋ってますもんね。テリー・サヴァラスもそうですよ。サヴァラス本人は大平さんほどにはやってないよっていう(笑)。
 
――テリー・サヴァラスという役者さんで印象に残ってることはありますか?
 
本当に素敵な表情する人ですよね。あの辺の時代は、役者さん一人一人にすごく個性があって、芝居もそうなんですけど、素晴らしいなって思います。誰がどんな役者かっていうのが分かりやすい。カッコいいだけじゃないんですよね。カッコいいのはもうイーストウッドだけでいいんですよ(笑)。
 
――大平透さんにはどんな印象がありますか?
 
そうですね。僕はやっぱりアニメですごく楽しませてもらったっていう記憶が強くて。「シンプソンズ」とか「ハクション大魔王」とか「笑ゥせぇるすまん」とか。だからオモシロ色が強い人なんだってずっと思ってたんですけど、声や演技をすごくいろいろと使い分けられる、それも作品に合わせてちゃんと作っていらっしゃる方ですよね。もちろん今だって器用な人はいっぱいいらっしゃるんですけどね。
 
でも、先ほども言いましたけど、まず通しでフィルムを見て、一本のマイクでみんなで録っていたみなさんって、やっぱり僕らの世代にとってはレジェンドなんですよ。職人って本当にこういう人のことなんだろうなって思いますし、たぶん外国の人はこの録り方だと難しいんじゃないかなと思うくらい、卓越した技術を持っていたと思うんです。大平さんはそういう時代のスターですよね。だからもうハハーっていうか、もう足元にも及びませんっていうしかない(笑)。
 
――今回は楠さんなりにどこまで近づけたという実感なんでしょう?
 
それはどうなんでしょうね。見たら僕はがっかりするかもしれないし、皆さんの反応もまだわかんないですし。でも「やったぜ!」っていう感じではないです(笑)。でも、多田野さんにしろ明夫さんにしろ、本物みたいですからね。お二人のパートを見るのはそりゃあ楽しいですよ!
 
実は僕はテリー・サヴァラスっていうと「刑事コジャック」の印象なんですよ。コジャックは森山周一郎さんで、大平さんはすごく声の幅を使うんで、この映画のテリー・サヴァラスはコジャックとは違って聞こえるでしょうね。
 
――テリー・サヴァラスは「刑事コジャック」が放送されたことでお茶の間の人気者になりましたけど、楠さんにとって思い出深い海外ドラマ作品はありますか?
 
視聴者としては「ビバリーヒルズ高校白書」と「ビバリーヒルズ青春白書」って続いてやっていたのと、あと『ER』とか、長い作品がありましたよね。昔はああいう長い作品がたくさんあって、毎週楽しみに見てましたね。今は一挙放送っていうか、一気にシリーズ全話が配信されたりしますけど、当時デートしてた彼女に「ビバリーヒルズがあるから帰る」って帰られたことありますよ。ウソでしょって思いましたけど(笑)、それぐらいみんな好きだったっていうか、そういう時代がありましたよね。
 
――『戦略大作戦』の吹替が初めて放送されたのが1977年の10月だそうで、46年経って吹替の完全版が放送されるわけですが、視聴者に見どころ、聴きどころをお願いします。
 
すごく楽しめると思います。
 
それと声優を目指そうとしてる人とか、吹替に興味を持ってくださってる人は、すごく勉強になると思いますね。やっぱり一人一人の声優さんの力がスゴすぎて、僕も今回参加させてもらって、「こういうやり方もあったのか!」とか、本当にうわーって思ったことがいっぱいありました。
 
もし僕がこの時代に声優をやり始めていたら、たぶんぜんぜんできなくてやめてたかもしれないです。それぐらい難しいことをやっていらっしゃるんで、本当に勉強になると思います。
 
 


 
『戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル』
⇒大塚明夫さんインタビューはこちら
⇒多田野曜平さんインタビューはこちら
 


ムービープラス
戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル『戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル』

■作品概要
大戦中のヨーロッパ戦線を舞台に、連合軍のならず者たちが繰り広げる、1970年制作のクリント・イーストウッド主演の戦争アクション・コメディ。
ムービープラスでは、地上波放送用にカットされていた約39分の映像に新たに音声を収録。追録シーンの声優には、イーストウッドの専属声優だった山田康雄の代役や後任として担当している多田野曜平、ドウェイン・ジョンソンやヴィン・ディーゼルの吹替でお馴染みの楠大典、父親も本作で声優を務めている大塚明夫など、豪華キャストが演じている。
■声の出演:
ケリー二等兵(クリント・イーストウッド):山田康雄/多田野曜平
オッドボール軍曹(ドナルド・サザーランド):宍戸錠/咲野俊介
ビッグジョー曹長(テリー・サヴァラス):大平透/楠大典
リトルジョー二等兵(スチュアート・マーゴリン):大塚周夫/大塚明夫
サイコロ軍曹(ドン・リックルズ):永井一郎/茶風林
 
ムービープラスでは山田康雄さんの誕生日に合わせて
2023年9月10日に「特集:レジェンド声優 山田康雄」を放送!
夜9時からの『戦略大作戦【吹替完全版】ムービープラスオリジナル』放送の他、9/10は山田康雄さんが声の出演をされた
夜7時~『アイガー・サンクション【地上波吹替版】』
夜11:45~『ペイルライダー【地上波吹替版】』
夕方4:30~『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』も一挙放送!
詳しくは、⇒ ムービープラス「特集:レジェンド声優 山田康雄」