ダークボのふきカエ偏愛録

#53 令和最初のおねだり

困ったなあ。令和最初の更新だというのに、まるで書くことがない。
いつもは、向こう2か月くらいにBSテレ東で放送予定の映画ラインアップからピックアップして、番宣8割・ネタ2割くらいで書かせてもらうんですが、この6・7月はプロ野球中継やら再放送やらで、映画番組が少なくて(「寅さん」だけは毎週ありますよ)。数少ない初物映画も、セガールばっかだし。

昭和から始まった俺のふきカエ人生も、平成で終わったな・・・と切なくなったところで。
最近、かつて自分が関わったテレビふきカエをブルーレイに収録したいということで、素材に関する問い合わせが数件相次ぎました(作品はまだヒミツ)。
このコラムでも再三語っている通り、あくまでCMの入るテレビ放送用に演出されたふきカエが、字幕や追加収録で埋めたりしながらノーカットで収録されることには疑問もあるのですが、記憶と共に消えていくだけだったわが仕事が、形を変えて保存されるのは嬉しいことでもあり、事実、ソフト化されたものはほとんど購入してコレクションしています。
そのように前向きに考えれば、あれとかアレもお願いしたい! というわけで、まだソフト化の話がないかつてのわが仕事から、ぜひお願いしたい作品を挙げてみようと思います。

ダークボのふきカエ偏愛録_201906

まず今回は、20世紀末にテレ東で展開した〈20世紀名作シネマ〉の作品群から、『オリバー!』(1968)を。

ご存知、ディケンズの「オリバー・ツイスト」を原作にしたミュージカルを、キャロル・リード監督が映画化した大作です。
19世紀のロンドンでの「Consider Yourself」の群舞は圧巻というほかなし。米アカデミー賞で作品賞ほか6部門を受賞した名作ながら、なぜかふきカエが制作されたことはなかったらしく、わがテレ東版が、現存する唯一のふきカエであります。
と言ってもミュージカル場面は原音+字幕で、ふきカエたのはドラマ部分だけですが、手前味噌ながら神がかり的なキャスティングで、セリフから歌への乗り替わりにはまったく違和感なし。
後に『小さな恋のメロディ』でも共演する二人、マーク・レスター(オリバー)の矢島晶子さん、ジャック・ワイルド(アートフル・ドジャー)の坂本千夏さんがとにかく可愛くて(アフレコ後の打ち上げで、この天使のような子役たちの声優さんが揃ってバツイチです、と言われてうっかり笑っちゃったな)。オリバー・リード(ビル・サイクス)の大友龍三郎さん、シャニ・ウォリス(ナンシー)の山像かおりさんも役柄にぴったり。そして何より、故・永井一郎さんのロン・ムーディー(フェイギン)がもう最高!

ダークボのふきカエ偏愛録_201906

ほぼノーカットで作ったのに、その後、ふきカエ収録には積極的なはずのソニー・ピクチャーズさんが英語音声のみでDVD・ブルーレイを発売されたのには何か事情があるのでしょうが(本国のアプルーバルが取れないのかな?)、ここはぜひリニューアル発売をお願いしたく。

〈20世紀名作シネマ〉で新録したふきカエのうち、『アラビアのロレンス』『イヴの総て』、『王様と私』、『カサブランカ』、『ロミオとジュリエット』などは既発のDVD・ブルーレイに収録されてますが、
まだソフト化されていない『恐怖の報酬』『スケアクロウ』『卒業』『グラン・ブルー』等については、以前このコラムで紹介してますので、それぞれリンク先をお読み頂きたく。特に『グラン・ブルー』は何とかしてほしい!(唯一のふきカエだよ!)

ダークボのふきカエ偏愛録

よーし、この調子で小出しにおねだりして行けば、まだ当分はコラム続けられるな。
そうだ、一つだけ番宣を。
案の定「平成最後のテレビふきカエ」になってしまった『ウォンテッド』を、6/30(日)夜7時から、BSテレ東にて再放送します。
初回放送時は、SNS界隈ではかなり盛り上がって頂きましたが、オンエアはまだまだ観てない方が多いようなので、ぜひこの機会にご覧ください。ほんと、カッコいいから!

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『ウォンテッド』スタッフ・キャストの皆様よりのコメントはこちら

 

[作品画像はAmazon.co.jpより]
※Amazonのページで紹介しているDVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合や既に廃盤となっている場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。