※Amazonのページで紹介しているビデオテープ・DVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。

ALL FOR ONE, AND ONE FOR ALL!(シャキーン☆)

『三銃士』という言葉から何を連想するかで、その人の世代が分かります。『少年少女世界名作全集』だったら五十代以上。「ああ『ながぐつ三銃士』ね、『長靴をはいた猫』の続編でしょ!♪びっくりしたニャー♪」と歌いだすのは四十代(のアニオタ)。もっと若い世代ならディカプリオ主演の『仮面の男』か、三谷幸喜脚本のNHK人形劇『新・三銃士』(傑作!)。そんな世代を超えて愛されてきた古典冒険小説が21世紀の今、今度は3D映画となって登場します。

 

三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船

パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉 公式サイトへ

17世紀フランス。銃士になる事を目指し、田舎からパリへと出て来た18歳のダルタニアンは、偶然に憧れの三銃士アトス、ポルトス、アラミスと知り合う。国王・ルイ13世から宮殿に呼ばれたダルタニアンと三銃士は、そこで英仏の和平交渉にやって来た英国のバッキンガム公爵と美女・ミレディと会う。その頃、ルイ13世に不満を持つリシュリュー枢機卿は、王妃を巡る陰謀を企み、二重スパイのミレディに王妃の首飾りを盗み出させていた…。

(日本語吹替え版のスタッフ・キャストはこちら)

 

「東山三十六峰静かに眠る丑三つ時、たちまち起こる剣戟の響き!」。かつて「剣豪もの」と言えば洋の東西を問わず娯楽小説の花形でした。その元祖とも言えるのが、19世紀にフランスの小説家アレクサンドル・デュマが発表した『三銃士』。
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理想に燃える若者、陛下に忠誠を誓う屈強の銃士隊、陰謀を巡らす悪の枢機卿、暗躍する謎の美女。魅力的なキャラクターと胸のすくアクションが満載の物語は、時代を越えて世界中の大衆に愛され、何度も映画化されています。さすがに往年のジーン・ケリー版は未見なのですが、記憶にある最初の映画化がこちら。

ビートルズ映画で有名なリチャード・レスター監督の演出によって、古典の冒険活劇はポップで軽快なアクション映画となりました。今イチ印象の薄い主役のマイケル・ヨークを抑えて、特筆すべきは悪役の面々。冷酷無比のロシュフォール伯爵にはドラキュラことクリストファー・リー。悪女ミレディには妖艶なフェイ・ダナウェイ。そして名優チャールトン・ヘストンが貫禄の演技で黒幕リシュリュー枢機卿に扮します。セクシー・ダイナマイトなラクエル・ウェルチが、清楚なコンスタンスを演じているのも眼福の至り。製作はアレクサンドルとイリヤのサルキンド父子で、この時のリチャード・レスター監督とのチームが後年の『スーパーマンⅡ 冒険編』へ繋がっていくのですね。 そして90年代、三銃士は再び銀幕に登場します。

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公開当時の序列だと、今やアル中DVなんでもござれのトンチキ野郎に成り果てたチャーリー・シーンが主役で、キーファー<ジャック・バウアー>サザーランドが二番手という、改めて思えばちょっとそれはどうなのよ的な並び。でも内容はさすがディズニー、娯楽作品のツボを外さず真っ当なアクション映画に仕上がっています。DVDの吹替え版も三銃士が山寺宏一・堀内賢雄・玄田哲章(誰がどの役か想像つきますね)、ダルタニアンに宮本充という豪華版。悪役リシュリューを”フランクン・フルター博士”ことティム・カリーが怪演しています。

そして、時は流れて二十一世紀。『バイオハザード』シリーズを手がけたスタッフ・キャストの新作が『三銃士』と聞いてビックリ、オーランド・ブルームが出演と聞いて二度ビックリ。「オーリーのダルタニアンにミラジョヴォのコンスタンス?微妙にトウが立ってないかい?」との懸念は見事に(良いほうに)裏切られ、二人が演じるのはミレディとバッキンガム公!『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツをリシュリューに加えて、『三銃士』史上最強の悪玉トリオ(『ヤッターマン』みたいですな)の登場です。

余談ですが監督のポール・W・S・アンダーソン、お会いしたことがあります。前作の『バイオハザードⅣ アフターライフ』に登場するアンブレラ本社、そう、あの”芝浦の地下にある”という設定の(笑)。そのシーンに日本語の台詞を入れたいとの依頼で、来日した監督立会いの下、不肖私が録音演出を仰せつかったのです。「ハリウッドの監督なんてきっとおっかないんだろうな下手に『モータルコンバット』好きですなんて言ったら冷たい目で睨まれたりしてビクビク」とへっぴり腰のこちらの前に登場したのは、笑顔もまぶしい長身の二枚目。オタクなのに何でそんなに爽やかなの!奥さんミラ・ジョヴォヴィッチだし!とやっかむこちらの心中を察してか、収録中も”Good!”や”Nice!”を連発します。「ああ、監督ってこうやってチームを盛り立てていくんだなー」と感銘を受けているところへ、いきなり「ここで台本にない台詞を足したいから、LogicalでImpressiveなヤツをいくつか考えてよ」なんて無茶振りをしてくるナイスガイ・ポール。「ジャジャジャ、ジャストモーメントプリーズ(汗)」とあせりながら急遽ひねり出した台詞を声優さんに喋ってもらって、「あのー、いかがでしょうか…」と恐る恐る振り向くと、”Good Job!”とウィンクしながら親指を立てるナイスガイ・ポール。こっちはすっかりハートを鷲掴まれてしまい「もう一生監督について行きます!」と心に誓ったのでした。それ以来会ってませんが。

閑話休題。そんなナイスガイの演出で生まれ変わった今回の『三銃士』では、全編に渡って超弩級のバトル・アクションが展開します。剣でのチャンバラはもちろん、宙を飛んでハイキックをかますミレディ、新兵器を連射でぶっ放すバッキンガム公、果ては飛行船同士の大空中戦まで、目も眩むようなスペクタクル満載。それが3Dでドーンと飛び出してくるわけですから、まさに「ラーメン二郎の全部乗せ野菜増し増し」状態で、慣れない方は確実に胃に来ます。あ、ニンニクもお願い。

胃腸の弱い方に限らず、こういう映画は吹替え版がお薦めです。声の出演はダルタニアンに今が旬のイケメン溝端淳平さん、ミラジョヴォ・ミレディに『武士の一分』での演技が光っていた檀れいさん。どうせだったら旦那の及川ミッチーも呼べばよかったのに!その他にも個性派の声優陣が揃って名演を聞かせてくれます。理屈とか時代考証なんてメンドクサイものはそこらに置いといて、映画館へ出かけましょう。そして絢爛豪華な二時間を過ごした後は、スクリーンに向かって親指を立てて、こう呟くのです。「ヘイ、ポール!グッジョブ!」(←すっかり友だち気取り)。

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時の流れは早っ!! なんて早いのでしょう。今年も残すところ、あと2カ月余り。あっという間に11月になっているではありませんか。深まる秋、夕暮れのひとときのあの寂しさ…。そしてネオンの輝きに吸い込まれる私。う~ん、鍋とお酒のおいしい季節となりました。

そんな秋の夜長、映画でも観ませんか?(もちろんふきカエで…)

タイタニック [DVD]

あの悲劇から、来年で100年、2012年に3Dリマスター版が公開予定されている

『タイタニック』
[画像はAmazon.co.jpより]

1912年4月10日、イギリスのサウザンプトン港からニューヨークに向けて出発したタイタニック号。世界中の注目を集めたこの「夢の豪華客船」の処女航海は、1500名以上の犠牲者を出した沈没事故として歴史に残りました。その中で運命的に出会った若い二人、貧しい青年ジャックと上流階級の娘ローズの悲恋を描いた物語です。

ジャック役のレオナルド・ディカプリオの当時の人気はもの凄いものでした。
監督・脚本はジェームズ・キャメロンで、同監督の『アバター』に抜かれるまで、映画史上最高の世界興行収入を記録し、ギネスブックにも登録されていました。1998年の米アカデミー賞で11部門受賞し、セリーヌ・ディオンが歌う主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」も大ヒット。

ストーリーは、1997年、調査団が発見した、金庫の中の1枚の美女の絵から始まります。そのモデルである、タイタニック号の悲劇から奇跡的に生還した老女が、思い出を語ります。

タイタニック号でジャックとローズは出会い、階級の差を超えて、2人の間には愛が芽生える。しかし、ローズには婚約者のキャルドンが…。
そんな中、4月14日午後11時40分、正面に氷山発見!衝突を回避しようとするが、タイタニック号は氷山をかすめるようにして接触。
船はゆっくりと沈み始めるのであった。

ふきカエのキャストは、ジャックに松田洋治さん、ローズに日野由利加さん、キャルドンに山寺宏一さん。実在し、生還したモリー婦人に谷育子さん。ちなみに、フジテレビ放送版では、お仕事で大変お世話になっている小林幸子さんがアテています。タイタニック号のスミス船長に大木民夫さん、設計士アンドリュース役の納谷六朗さんは、フジテレビ版の最期まで演奏を続ける指揮者もアテています。
という、超ーチョーゴーカなキャスト!! 194分の大作ご覧あれ!!

余談ですが、かの甲板のシーンはパチンコのCMでジャガー横田夫妻が使われていました。(笑)

 

パール・ハーバー 特別版 [DVD]

2本目は、第二次世界大戦前後から日本軍が、アメリカ・ハワイの真珠湾に攻撃をしかけ、日本本土に対するドゥーリトルの空襲に至るまでを描いた、マイケル・ベイ監督の、その名もズバリ、

『パール・ハーバー』
[画像はAmazon.co.jpより]

アメリカ陸軍航空隊のパイロット、レイフとダニーは幼い頃から兄弟同然に育ち、いつも一緒。
そんな中、レイフは美しい看護婦のイヴリンと出会い、恋に落ちる。しかし、戦争は2人の仲を裂き、レイフは戦地へ。
同じ頃、ダニーとイヴリンはパールハーバーに転属される。そして知らされるレイフの死。レイフを失った悲しみに暮れる2人は、やがて、深い仲になってしまう。
しかし、レイフは生きていた!! そして、ダニーとイヴリンの事を知り、愕然と立ち尽くす。
そこから、レイフとダニーは対立するのであるが、1941年12月7日の朝、パールハーバーに大日本帝国海軍の空母部隊の攻撃が…。日本がアメリカに開戦をした日である。

そりゃアメリカが描くパールハーバーですから…。日本軍ですから…。奇妙な描写はしかたがない。思わず、目が点になってしまうシーンもあるのですが、迫力に溢れた映像と音響効果はさすがの一品です。

えっ!? 第二次世界大戦(太平洋戦争)を知らない? う~ん…。 おじいちゃん、おばあちゃんに聞いて下さい。70年前の真実を…。

ふきカエのキャストは、レイフに堀内賢雄さん、ダニーに平田広明さん、2人の間で揺れるイヴリンに田中敦子さん、ドゥーリトルに磯部勉さんなど、これまた豪華です。

もし、パールハーバーに興味を持ったのなら、『トラ・トラ・トラ』や『ハワイ・マレー沖海戦』をご覧ください。そして、12月に公開されます、役所広司さん演じる『山本五十六』を、是非映画館でご堪能下さい。

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『カサブランカ』

今回も「20世紀名作シネマ」ネタを一つ。

前回紹介した『イヴの総て』は「カラーライズ版」で放送した作品でしたが、カラーライズ版が存在したのに放送には使わなかったのが、ハンフリー・ボガート&イングリッド・バーグマンの
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『カサブランカ』
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だって…とても平気で放送できるようなクオリティではなかったから。最近「総天然色」ブルーレイが発売された『ウルトラQ』のように、カラーライズ技術も日に日に進歩していますが、十数年前の『カサブランカ』は色鉛筆で塗り絵したような代物でした。

というわけで、オリジナル通りのモノクロで放送することに決めましたが、今度は吹替え版に問題が…。
「20世紀名作シネマ」では、闇雲に新録していたわけではなく、往年の名吹替えを最新の映像にはめ込む作業にも誇りを持って取り組んでいました。で、ボギーと言えば久米明さん!ということで、かつての吹替え版素材を取り寄せたのですが、正味70分くらいに短縮されたものしか現存していませんでした…。

それならとびきりかっこいいロングバージョンを作ってやろうと、ボギー役に津嘉山正種さんを迎えて新録に踏み切ったのですが、さらに問題が浮上。
『カサブランカ』と言えば、とにかく「君の瞳に乾杯」「美しい友情の始まりだ」など名セリフの宝庫。ただ、日本語としてすっかり定着しているこれらの名訳は、すべて字幕版のものなのですね。久米さん版の吹替えも、まったく違う表現になっていました。
でも、もはやこうした定訳抜きの『カサブランカ』は考えられません。何とか津嘉山さんの「君の瞳に乾杯」が聴きたい…この一心で、制作会社の皆さんに八方手を尽くして調整して頂き、これらの名セリフをきちんと織り込んだ新訳台本を完成させました(翻訳は入江敦子さん)。
アフレコ当日、念願の「君の瞳に乾杯」を聴いた瞬間、スタッフ一同「おおーっ!」。小山悟ディレクターのイチオシでバーグマン役をお願いした塩田朋子さんのハスキーボイスも素敵でした。

カサブランカ台本の表紙 カサブランカ台本の本文


苦労して作り上げたこの吹替えは、現在発売中のブルーレイに収録されています。耳で聴く「君の瞳に乾杯」に酔いしれて下さいませ。


余談ですが。
『カサブランカ』の放送前、なぜかカラーライズ版の存在を知っていた人から、思いも寄らぬ問い合わせがありました。ワインの専門家の方で、「本編中に登場するシャンパン“ヴーヴ・クリコ”のラベルが正しく着色されているか知りたい」というものでした。
興味深いので素材を調べてみたところ、正しい着色どころか、同じラベルなのに場面によって色が変わったりするテキトーな配色でした。そういう点でも放送しなくてよかったなあ、とヘンに安心した次第。

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