外国映画をこよなく愛し、数々の吹替えの制作現場に携わり、音声業界でも名うてのふきカエ愛好家である吉田プロデューサーと長谷川マネージャーとMr.ダークボ がぜひ観ていただきたい名作・秀作をご紹介!

※Amazonのページで紹介しているビデオテープ・DVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。

少女は弓を引き、宇宙飛行士は深遠に彷徨う

早いもので季節はすっかり冬の様相。クリスマスに年末年始と、街が賑やかになるこの時期は映画業界にとっても書き入れ時。新作が続々と公開されます。思い起こせば一年前、2012年の今頃は『007 スカイフォール』が映画街を席巻していましたが、この年末年始もそれに負けないほどの大作・話題作が控えています。今日はその中から特にお奨めのタイトルを二本、御紹介します。


『ハンガー・ゲーム2』

ハンガーゲーム

12の地区から選ばれた若い男女が最後の一人になるまで殺しあう「ハンガー・ゲーム」。近未来の独裁国家パネムで毎年行われるこの残酷なショーで勝利した少女カットニスは、虐げられた民衆たちの英雄となっていた。彼女を旗頭に革命の気運が広がる中、ゲームの主催者である大統領は「第75回の記念大会となる次回のハンガー・ゲームには、歴代の勝者たちが特別参加する」という新ルールを発表する。そこにはカットニス抹殺を図る独裁政権の恐ろしい罠が仕掛けられていた…


アメリカ国内だけで4億ドル、全世界では7億ドルという驚異の興行成績を記録した『ハンガー・ゲーム』。そのシリーズ第二弾がついに登場します。前作で妹の身代わりになってゲームに志願し勝者として生還した彼女は、圧政に苦しむ人々の希望の星となっていました。民衆の熱狂的な歓声の中で、自らをヒーローにしたこの殺人ゲーム、そして独裁国家の存在そのものに疑問を抱いていくカットニス。前作ではただ生き延びるために必死に戦っていた少女が、今回は次第にリーダーとしての使命に目覚めていく。その姿は主演のジェニファー・ローレンスと見事に重なります。
ケンタッキー生まれの23歳。2010年のインディーズ作品『ウィンターズ・ボーン』で数々の映画賞を獲得したとはいえ、、メジャー作品の主役を張るのは前作の『ハンガー・ゲーム』が始めてでした。その大ヒットによって一気にスターダムを駆け上がったジェニファーは翌年、『世界にひとつのプレイブック』で見事アカデミー賞の主演女優賞に輝きます。名実ともにハリウッドのトップスターとなった彼女が再びハンガー・ゲームの戦場に降り立ち、弓を取る。その勇姿が自信に満ちているのも当然でしょう。

主演のジェニファー・ローレンスほかレギュラーのキャストに加え、本作では新たなキャラクターも登場します。中でも注目はフィリップ・シーモア・ホフマン。『M:I:3』では悪の首領としてトム・クルーズ相手にタイマンを張り、『ザ・マスター』では新興宗教の教祖をカリスマ性たっぷりに怪演した「世界一かっこいいデブ」が、物語のカギを握る大統領の側近役を演じます。その彼と、前作に続いて司会者役で出演のスタンリー・トゥッチ。名バイプレーヤー二人の競演は、若者たちが主役の物語に不思議な陰影を与えています。

吹替え版でカット二スを演じるのはもちろん水樹奈々さん。前作と同じキャラクターで神谷浩史、山寺宏一といった豪華な声優陣が続投し、愛と戦いの壮大な叙事詩が展開します。乞うご期待。


そしてもう一本。「宇宙を舞台に3Dで描くSF大作」といえばハリウッド映画での定番ジャンルに見えますが、この作品に関してはそれだけではすみません。「SF」や「3D」といった枠を超えて、映画史のエポックになるかもしれない。そんな話題作が登場します。

『ゼロ・グラビティ』

ゼロ・グラビティ

宇宙空間でミッションを遂行していたライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)と宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)は想定外の宇宙塵に遭遇。スペースシャトルは大破し、二人は一本のロープでつながれたまま漆黒の無重力空間へと放り出されてしまう。地球に戻る手立てはなく、酸素はあと2時間しかもたない。絶望的な状況の中で懸命に生還する方法を探る二人を、底知れぬ宇宙の闇が次第に飲み込んでいく…


私事で恐縮ですが昔話をひとつ。小学生だった筆者はある休日、近所に住む祖母の家で二人してテレビを見ておりました。時は宇宙開発華やかなりし七十年代、テレビの画面には命綱を付け、無重力状態で船外作業をしている宇宙飛行士のニュース映像が。SF少年だった筆者は雑誌で読みかじった知識をここぞとばかりに披露しました。「宇宙って無重力で空気もないから、あの命綱が切れたら大変なんだよ」。すると祖母が答えて曰く「そうだねえ。食べるもんもないしねえ」…
子供心にも「え、そこなの?」と思いました。おにぎりの二つも持ってりゃ助かるとか、そういう問題じゃあないだろう、と。しかし激動の時代を生きてきた祖母にとって「食べ物がない」という恐怖は、宇宙空間の危険に比べても圧倒的なリアリティがあったのだ、と今にしてみれば思います。

大正生まれの祖母には想像もつかなかった「宇宙の闇」を、今の時代に生きる我々はこの『ゼロ・グラビティ』で体感することが出来ます。主な登場人物は二人の宇宙飛行士だけ。映画はほとんど全編、彼らが置かれた極限状態だけを追い続けます。その背後には漆黒の闇が広がり、聞こえる音は二人の切迫した息遣いと会話のみ。3D映像と立体音響という最新技術を使いながら、敢えてそうしたミニマルな状況を描いたアルフォンソ・キュアロン監督の慧眼。この作品、可能であれば3D映像とドルビーアトモスの音響設備(天井からも音が降ってきます!)を備えた劇場で御覧になることをお薦めします。90分の間、そこは本当の宇宙空間に変貌するはずです。

こちらも吹替え版同時公開。声の出演はまずジョージ・クルーニーと言えばこの人、ご存知小山力也氏。台詞の多くはヘルメットの通話装置を通した加工音声ですが、それでも艶を失わない低音は盤石の安定感です。そして主役のサンドラ・ブロックには深見梨加さん。サンドラの声は2009年公開『ウルトラ I LOVE YOU!』に続いての登板ですが、ハチャメチャなコメディだった前作からは一転。突然虚空に放り出された科学者の恐怖をほぼ一人芝居で演じきります。本作の熱演でアカデミー賞の声も上がっているサンドラですが、実は前出の『ウルトラ I LOVE YOU!』で「その年の最低映画」に贈られるゴールデン・ラズベリー賞(通称ラジー賞)の「最低女優賞」を見事に受賞(その授賞式に堂々と登壇してスピーチまでしたサンドラは本当にオトコマエでした)。オスカー級の熱演とラジー賞の迷演。両極端な二作品で吹替えを担当した深見さんの演技も、宇宙空間並みに底知れぬものがあるように思えます。必見。


宇宙からの脱出 [DVD]

宇宙からの脱出 [DVD]

[画像はAmazon.co.jpより]

「宇宙脱出もの」の元祖にして、巨匠ジョン・スタージェス監督(『大脱走』『荒野の七人』)唯一のSF作品。子供の頃テレビの洋画劇場で見て、危うく呼吸困難に…

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まぁ、本当に1年なんて光のごとし。あっという間に木枯らしが吹いて、冬が来たー!今年もいろいろありました。アベノミクスは我々には何の効果ももたらさず、世界は異常気象で苦しめられ、明るいニュースときたら、楽天の日本一くらい。巨人ファンの皆様には申し訳ないが、今年は東北に、日本に希望を与え続けてくれたので、許してください。おかげで私の通っているマッサージ屋さんの優勝割にあやかることができ、とても助かりました。マー君ありがとう!星野監督ありがとう!!
というわけで、今月も2作品紹介いたします。

まず、1984年に公開された
グレムリン [Blu-ray]

『グレムリン』
[画像はAmazon.co.jpより]

です。
発明家のランドールは、息子ビリーのクリスマスプレゼントを探して、チャイナタウンの骨董店を訪れる。そんな中、布で隠された籠の中から聞こえてくる歌が気になり、覗いてしまう。そこには不思議な生き物が…。気に入り購入しようとしたが、店主は売り物ではないと断言。諦められないランドールは、こっそりと店主の孫に駄賃と代金を支払って、その生き物モグワイを連れて家に帰る。このプレゼントをビリーもすっかり気に入り、ギズモと名付ける。だが、世話をする際には3つの注意事項があるようで…。うーむ…その一つが、「真夜中12時過ぎに食べ物を与えてはいけない」。きゃー、それは私も同じですー! 真夜中の食事は怖いぞー!!さてさて、そのかわいいギズモは一体どうなってしまうのでしょう…。それが原因で、街まで巻き込んだ大パニックに!? 詳しい事は観てからのお楽しみ!!
ふきカエのキャストは、父ランドール(ホイト・アクストン)に富田耕生さん、ビリー(ザック・ギャリガン)に関俊彦さん、ビリーの恋人ケイト(フィービー・ケイツ)に玉川紗己子さん、ギズモに滝沢久美子さんなど、楽しさ倍返し!?パート2もありますので、是非続けてご家族でお楽しみください。ちなみに、ギズモのぬいぐるみ可愛いですよー!!

 

あなたが寝てる間に… [DVD]

2作目は、1995年に公開の

『あなたが寝てる間に…』
[画像はAmazon.co.jpより]

でサンドラ・ブロックが演じる、孤独なヒロイン、ルーシーはシカゴの駅で改札嬢を仕事とし、毎日見かけるイケメンのピーターに憧れを抱いていた。演じる俳優さんもピーター・ギャラガーとピーターの2乗。
ある日、ピーターが不良に絡まれ、線路に落ち、意識不明になってしまったところをルーシーが救出。ひょんなことから彼の家族に婚約者と勘違いされるが、ピーターの弟ジャック(ビル・プルマン)に疑われ…。

 そんなルーシーに日野由利加さん、ジャックに大塚芳忠さん、ピーターに原康義さんと、安心な皆様によるラブコメディ。このクリスマスシーズンおすすめの1本です。

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『北北西に進路を取れ』

民放テレビのふきカエ洋画番組には、「カットがひどい」というご意見がしばしば寄せられます。
オリジナルをこよなく愛するために、いかなる改変も受け容れられない人はいるでしょう。また、テレビで映画を観る手段が地上波の洋画番組しかなかった時代なら、テレビ放送バージョン=その映画、として記憶されるわけで、それはオリジナルの作り手に対して申し訳ない気もします。

が、今はブルーレイ・DVDやBS・CS、ネット配信など、オリジナルを観る手段がいくらでもある時代です。民放で放送されるカット版は、「ディレクターズカット」などと同じく、その映画のバージョンの1つとして楽しめばいいでしょう。
ただし最近の洋画番組は、劇場版やソフト版のふきカエを流用することも多くなりました。これはもともとノーカットの本編に合わせて演出されたものを、単に時間の都合でカットするわけですから、「短縮版」にすぎません。本来の「テレビ版」は、限られた放送時間で、番組として完結しているだけではなく、オリジナルのエッセンスを凝縮して楽しんでもらえるよう特別に演出されたもの。俺がアナザーバージョンとして楽しんで頂きたいのは、専らこういう“正しい”テレビ版です(テレビ局の人間としては、正しくないのも観て頂きたいですけどね)。

北北西に進路を取れ [Blu-ray]

前置きが長くなりましたが、新年早々、2014年1月にBSジャパンで放送予定の『北北西に進路を取れ』は、そういう“正しい”テレビ版の見本のような作品。言わずと知れた、アルフレッド・ヒッチコック監督の超おもしろサスペンスです。
俺がこの映画を初めて観たのはテレビの「水曜ロードショー」で、先の読めない展開に目が釘づけになったものですが、それから何年も経って、リバイバル上映やBS放送でノーカットのオリジナルを観たら、どうも印象が違いました。
ケイリー・グラントが演じる主人公は、謎の男たちに人違いされ、わけのわからない危機に陥るのですが、サスペンスの巨匠・ヒッチコック監督はユーモアの人でもあるので、中盤であっさり事の真相を観客に教えてくれるのですね。意外と優しい、ユーモアミステリーの味わい。ところがテレビ版は、そのタネ明かしシーンをばっさりカットしており、視聴者は主人公の置かれた状況をまんま共有させられるので、敵も味方もわからないハードなサスペンスに見えるのです。
ヒッチ先生の好みではないかもしれませんが、このハラハラ・ドキドキのテレビ版も魅力たっぷりのアナザーバージョンだと思います。なので、今回の放送ではあえて追加収録などはせず、映像だけHD画質にグレードアップしてお送りします。
(このふきカエ音声は発売中のDVD・ブルーレイにも収録されてますが、字幕で補完したノーカット版なので、本来のテレビ版の楽しさは味わえません。)

荒野の用心棒 完全版 スペシャル・エディション [DVD]

さて、順番は前後しますが、12月のBSジャパン「シネマクラッシュ 金曜名画座」は、すべて番組初登場の4作品です。
6日(金)は、セルジオ・レオーネ×エンニオ・モリコーネ×クリント・イーストウッド、マカロニウエスタンの決定版『荒野の用心棒』。イーストウッドのふきカエは、もちろん山田康雄さん。
13日(金)は、先日交通事故で惜しくも亡くなられたジュリアーノ・ジェンマさんを偲んで、彼の代表作の一つ『星空の用心棒』を。(俺は、かつてジェンマさんとお仕事した経験がありまして・・・その忘れ難い思い出についてはこちら
クリスマス直前の20日(金)は、音楽メロドラマの名編『愛情物語』

ハンガー・ゲーム (2枚組)初回限定仕様: スペシャル・アウターケース付き [Blu-ray] そして27日(金)は、この日にパート2(吉田Pのコラムを参照)が日本公開される全米スーパーヒット作『ハンガー・ゲーム』が早くも登場! ただし、これだけは・・・ソフト版のふきカエでの放送です(ダメじゃん)。まあこれはこれで、楽しんで下さいませ。

☆長谷川さんおすすめの『グレムリン』は、12月12日(木)にテレビ東京「午後のロードショー」で放送されます。関東地区のみですが、こちらもどうぞ。

[作品画像はAmazon.co.jpより]


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