外国映画をこよなく愛し、数々の吹替えの制作現場に携わり、音声業界でも名うてのふきカエ愛好家である吉田プロデューサーと長谷川マネージャーとMr.ダークボ がぜひ観ていただきたい名作・秀作をご紹介!

※Amazonのページで紹介しているビデオテープ・DVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。

まだまだ暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 私はというと、友人のお母様が作ってくださった、アケビ酒やレモン酒を飲みながら、この試練!?をなんとか切り抜けようと頑張っている(何をだ!?笑)毎日です。

ではさっそくですが、今月も張り切って紹介させていただきます。1997年、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督作品のカナダ発の秀作、
CUBE キューブ [Blu-ray]

『CUBE キューブ』
[画像はAmazon.co.jpより]

です。
ある日、目が覚めたら、真っ白な空間に7人の男女が捕えられていた。誰が何のために閉じ込めたのかもわからない。そこには、とても恐ろしい“死のトラップ”が張り巡らされていた。何とか脱出を試みる7人の男女。しかし、彼らを襲う様々なトラップは、発動するまで有無さえわからない。罠=死ではない部屋もあるなど、予測不可能。果たして彼らは、出口までたどり着けるのだろうか。
 登場人物は、警察官でメンバーを牽引するクエンティン(モーリス・ディーン・ウィン)に玄田哲章さん、精神科の医師で、正義感溢れるハロウェイ(ニッキー・グァダーニ)に谷育子さん、つまらない毎日を送っていた著者で、突然の状況にパニックになるレブン(ニコール・デボ・ア)に津村まことさんと、ベテランキャスト陣が、終始緊張感のある物語を引っ張ってくれています。
 難しく考えると、素数・デカルト座標・因数…(なんじゃこりゃ)等々、理数系のお好きな方には、さぞや面白い作品かと思います。…が、難しいことは???な私でも、魅了される作品です。「あっ!」というラストまでお楽しみに!!

 

トーマス・クラウン・アフェアー [Blu-ray]

世間では小栗ルパンが活躍していますが、世界にも大泥棒はいます。その名も、トーマス・クラウン!ということで、2作目は、1999年公開、アクション映画で定評のあるジョン・マクティアナン監督作品の

『トーマス・クラウン・アフェアー』
[画像はAmazon.co.jpより]

をご紹介します。
会社経営をしていて億万長者のトーマス・クラウン。その反面、ゲームを楽しむために美術品を専門に盗む泥棒でもあった。ある日、トーマスはメトロポリタン美術館からモネの絵画を盗み出す。その調査のために保険会社から派遣されたキャサリンは、トーマスを疑い、証拠をつかむため、ニューヨーク市警のマイケルらと共に捜査していたが、やがてキャサリンの心も奪われてしまう。洗練された大人の恋。ニューヨークの街並みもそれを演出します。
そんなトーマスをスマートに演じている(ピアース・ブロスナン)に江原正士さん、キリッとしていて、そしてセクシーなキャサリン(レネ・ルッソ)に塩田朋子さん、そんな2人の仲をヤキモキするマイケル刑事(デニス・リアリー)に星野充昭さん、トーマスのカウンセラー(フェイ・ダナウェイ)に宮寺智子さんなど、貫録十分。
大人のための泥棒映画。元ネタは1968年のスティーブ・マックィーン主演「華麗なる賭け」で、その時は銀行で強盗でした。では、夏の疲れに映画でもご覧あれ。

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ふきカエ考古学序説

今回より隔月で寄稿させていただくことになりました、CS洋画チャンネルの者で、40歳男です。ワタクシ、夜9時からの民放のTV洋画劇場で映画の楽しさを知った世代。水野晴郎さん、木村奈保子さん、高島忠夫さん、そして淀川長治さん(ギリ荻昌弘さんの記憶もある)の番組を毎晩見ふけって、それが嵩じて商売にまでしちゃった訳でありまして、映画は当然ふきカエで!ということになります。

10年ほど前、すでに映画の見方は多様化しており、劇場、DVDレンタル/購入、PPV、そしてTVのBS/CS多チャンネル放送と、様々な方法で選り取り見取りに映画が楽しめる時代の幕がとっくに上がっていました。にもかかわらず、旧作を思い出深いふきカエ版で見る手段だけがほとんど存在しませんでした。

そこで、自分のとこのチャンネルで、昔懐かしいふきカエ版を“発掘”して放送する、という公私混同の取り組みを始めたのです。以来、懐かしふきカエ、それも、できるだけソフトに収録されていない、見たいと願ってもなかなか見られない作品をオンエアするということを、今日までずっと続けております。

さて、“発掘”と書きました。古いふきカエ版を入手することは、まさに発掘と言うしかない作業なのです。

ある懐かしふきカエをオンエアしようと思った場合、「ふきカエ版ありますか?」とその映画の権利者に照会することになります。金曜ロードショー版なら日テレに、日曜洋画劇場版ならテレ朝に問い合わせる訳ではないのです。なぜなら、「2014年6月のおすすめ」のダークボ先生の記事に詳しいのですが、放送が終わると、その日本語ふきカエ版テープは権利者に渡されるからです。ふきカエ版は作った局の持ち物、になる訳ではなくて、あくまで映画の権利者のものなのです。

さて、権利者に照会して、当時のふきカエ台本が閲覧できる場合があります(失くなっちゃったケースも多い)。「この台本はこのテープのものだ」ということが確実なのであれば話は簡単です。台本の表紙には、たとえば「金曜ロードショー」の当時のロゴが印刷されており、オンエア日もきちんと明記されていますから、「これのテープを貸し出してください」とお願いして万事解決となります。

でもそう楽には済まないケースが多いんです…。台本が無いとか、台本が何種類かあってテープも複数本あり、どれとどれがセットなんだか判らない(ふきカエ版が何バージョンも作られることはよくありますよね)とか、台本だけあるが肝心のテープが無い、ということも、ままあります。

台本が無くとも、せめてデータで「昭和何年何月何日放送のナントカ洋画劇場版のテープだ」と判れば楽なのですが、そういうことは滅多にありません。

「日テレ版がある」ということだけ判ればかなり良い方です。ふきカエが複数バージョン存在する場合、「これはテレ朝版」、「こっちは日テレ版」、「VHS版もある」、「全部で3バージョンだ」と判明しているなら、状況としてはだいぶ良い。実際には、複数バージョン存在する場合、一部はバージョンが判っていても一部は不明ということもよくあります。

権利者が海外の場合(洋画ですからねぇ)、そこらへんの情報がまったく判らないというケースもザラです。「日本語ふきカエ版らしきテープが何本かあるが中身までは把握していないので、そっちで見て判断しくれ」と航空便で送られてきて、全部見る、という展開は、相手が海外の場合は割とよく起きます。

ということで、どのバージョンかはっきりしないケースが実に多い。そこで、様々な手掛かりからどのバージョンか推測していくことになります。たとえば「素材」です。

テープ素材

TVの世界では、番組はここ何十年かビデオテープに記録されています。ベータカムとかデジタルベータカムとかD2とかD5とかHDCAMとか様々な規格があって統一されてません。さらに、ビデオ以前にはフィルムでした。その各種ビデオやフィルムを、ワタクシどもの方では「素材」と呼んでいますが、この「素材」の形式が時代によって異なるため、それがふきカエ版バージョン特定の判断材料の一助になるのです。

たとえば素材がD2の場合、これは80〜90年代に一般的だった素材ですので、まさに40歳ワタクシ世代ドンぴしゃ時代の金曜ロードショー版ではないか?ゴールデン洋画劇場バージョンではないか?と推測できます。フィルムの場合なら、70年代以前にTV放送されたものだろうとの推測がなりたちます。

日本語の解らない海外の権利者であっても、テープの違いは見れば分かりますから、これだけは確実に教えてくれます。台本が入手できなかった場合、この確実な素材種類情報+「日テレ版」などという断片的な情報が、多くの場合、放送準備段階でワタクシが事前入手できる判断材料となります。

例を具体的にあげましょう。むかし水野晴郎さん時代の金曜ロードショーで見た、とある映画を放送したいなぁ、と思い、権利者に照会して「台本とテープがある」との返答があれば、即解決です。台本を見て欲しいバージョンかそうでないか一発で判断がつきます。

「台本は無いけどD2の日本テレビ版がある」と返答があれば、80〜90年の素材で、かつ日テレ版ということでおそらく金曜ロードショーだろうから、多分コレだ!と判断できます。

「D2。台本無し。放送局等のバージョン不明」との返事の場合、80〜90年の素材であることだけは判る、金曜ロードショー版かどうかは判らない、ということになりますが、では、80〜90年に、金曜ロードショー以外でふきカエ放送された事実があったかなかったか?当時VHSふきカエ版は作られたのか?を調べ、金曜ロードショーでしか放送歴がないのであれば、この素材が多分それだろうと判断できる。もし他局でも放送していたりVHSふきカエ版があったりしたら、これがどれかは判断つきませんから、もう中身を見る以外は確認手段がありません。

どうですか?我ながら、まさにこりゃ“発掘”だわ、と思うのです。骨は折れます。でも、30年ちかく前に見たっきり二度と再会できずにきた、少年の日の宝を掘り当てるという作業に日々従事できてるんですから、この“ふきカエ考古学”は、クセになるほどイタ気持ちいいタイムカプセル発掘作業なのです!

あ、最後に、自分のとこのチャンネルで吹き替え専門facebookというのもやっておりますので、よろしかったら覗きにきてください。

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