外国映画をこよなく愛し、数々の吹替えの制作現場に携わり、音声業界でも名うてのふきカエ愛好家である吉田プロデューサーと長谷川マネージャーとMr.ダークボ がぜひ観ていただきたい名作・秀作をご紹介!

※Amazonのページで紹介しているビデオテープ・DVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。

戦え。お前に選択肢はない

――なんていう台詞を真正面から、それもあのハリソン・フォードにどアップで言われたら、いい歳をした大人でも震え上がるだろう。いわんや、まだ年端も行かぬ少年をや。この映画の主人公である少年エンダーは、まさにそうして熾烈な戦場へと駆り出されていく。それも一兵士としてではなく、人類の命運を握り、その名のとおり「戦いに終わり(END)をもたらす者(=ENDER)」として。


『エンダーのゲーム』

エンダーのゲーム

異星人の侵攻を受けている未来の地球。人類は「戦いを終わらせる者」を育成するバトルスクールを設立し、世界中から優秀な子供たちを集めていた。一家族に子供は2人までと定められた世界で、禁断の3人目=サードとして生まれた少年エンダーは、その才能を見込まれバトルスクールに送られる。優秀な成績をおさめ、みるみる頭角を現すエンダーに周囲は「戦いを終わらせる者」として期待を寄せるが、エンダーは戦うことへの疑問と重い宿命に苦悩する。そんな中、最終戦争の時が迫り……。


特殊な能力を持つ「選ばれし者(殆どの場合は年若い少年少女)」に人類の生存が託される、という図式は、SFの世界では定番のひとつとなっている。ハリウッド映画で言えば80年代に当時は珍しかったCGを全面的に用いて話題となった『スター・ファイター』(コンピューター・ゲームの天才少年が宇宙を守る戦士となる)であり、日本のアニメーションならばご存知『新世紀エヴァンゲリオン』(解説は不要ですよね)であろう。
眼を見張るCGや豪華な出演者たちの顔ぶれだけを見れば前者に類する「ハリウッド製の娯楽大作」にも見える本作『エンダーのゲーム』は、しかしながらその根底に、異端のSFアニメである後者と同じ血脈が流れている。というより、『エヴァ』という作品自体が『エンダー』の築いた世界観から出発しているとも言えるのではなかろうか。

『エンダーのゲーム』の原作は1985年に発表され、ネビュラ賞とヒューゴー賞というSF界の二冠を受賞(芥川賞と直木賞を両方獲っちゃったようなものです)。もう三十年前となれば、SF小説では古典の部類に入るかもしれない。その年月の間、何度も映画化が試みられながら今日まで実現されなかったのは、原作の持つ壮大なスケールと繊細な心理描写を過不足なく映像化することが、それだけ困難だったからに他ならない。前述した『エヴァンゲリオン』と同じ血脈は、実はその心理描写にこそある。
主人公の少年エンダーは図らずも天与されてしまった自らの能力――戦闘において相手を”殺す”力――を怖れ、その力を高めるために特殊訓練を課す大人たちに反発を覚える。実の父である碇ゲンドウに、異形の汎用人型兵器に乗り込むことを命じられたシンジ少年と同じように。望まない才能とそれ故に課せられた重圧に苦悩し、時に悲鳴をあげながらも、生き残るために戦うたびに、少年たちの能力は覚醒していく。

本作が思いもよらない転換を見せるのは、実はここから。エヴァでは主人公の悲劇が周囲を巻き込んで拡散していったのに対し、本作のエンダー少年は自らの命運と対峙することを選ぶ。そして、その変貌は単なる少年の成長物語にとどまらず、さらに大きなうねりとなって物語はもちろん、映画の構造までをもがらりと変えてしまうのである。ここからはぜひともスクリーンで、自身の目で見届けていただきたい。そこには、相当な映画通であっても思わず唸ってしまうような怒涛の展開が待っている。

吹替え版の出演者には、オリジナル版の俳優と同じくフレッシュな顔ぶれが揃った。『ヒューゴの不思議な発明』でブレイクし、本作では凛々しい少年へと成長した主演のエイサ・バターフィールド(エンダー役)を吹替えるのは、こちらも躍進著しい逢坂良太(『進撃の巨人』)。彼のパートナーとなる射撃の天才少女ペトラ(ヘイリー・スタインフェルド)には『けいおん!』のりっちゃんこと佐藤聡美。沢城みゆき、桑島法子といった実力派が脇を固める。アニメ中心に活躍する若手声優たちを実写映画に起用することに不安を覚える向きもあろうが、そこは御安心を。彼ら(彼女ら)の瑞々しい表現力は、アニメだ実写だという偏狭な垣根を軽々と飛び越え、ハリウッドの新進俳優たちにぴったり合った息吹を与えている。
そしてもちろん、物語の要となるグラッフ大佐=ハリソン・フォードを演じるのは磯部勉。いつにも増して冷徹な本作のハリソン(本当に全編を通じてにこりともしない!)には、やはり磯部氏の重低音こそがふさわしい。さらに、中盤から登場する(あっと驚く)あの人を、ちゃんとあの人が吹替えている(何やらわかりませんがそこは見てのお楽しみ)のも嬉しい限りである。

“人生で大事なことは全部ハヤカワSF文庫で教わった”世代(筆者のことです)でなくとも、今年必見の一本。そして映画を見終わった後は、ぜひ原作にも手を伸ばされん事を。


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (EVANGELION:1.11) [Blu-ray]

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エンダー少年とシンジ君の差は何処に在りやと考えるに、やっぱり食ってるもんの違いですかねえ

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寒い寒い冬の中、皆様いかがお過ごしでしょうか?早いもので、2014年になって約1ヶ月。まだ春は遠いですが、鍋でも囲みながら映画でも観ませんか?

今月1作目は、去年8月に公開されたアクションスリラー
ホワイトハウス・ダウン [Blu-ray]

『ホワイトハウス・ダウン』
[画像はAmazon.co.jpより]

監督はヒットメーカーのローランド・エメリッヒ。
ある日、大統領警護官志望のジョン・ケイル(チャニング・テイタム)は、ホワイトハウスに面接を受けに行くが、不採用に。ジェームズ・ソイヤー大統領(ジェイミー・フォックス)の大ファンである娘エミリー(ジョーイ・キング)を悲しませないために、一緒にホワイトハウスの見学に参加するが、傭兵エミール・ステンツ(ジェイソン・クラーク)率いる謎のテロ集団にホワイトハウスが占拠され、破壊されてしまう。その事件に巻き込まれたジョンは、大統領と行動を共にするが、娘を人質に取られ、窮地に追い込まれてしまうのである。果たして、アメリカを、全世界を恐怖に陥れたのは誰か…。ジョンと大統領を最後に守るのは誰か…。派手なアクションあり、裏切りありで、見応え十分です。
ふきカエのキャストも、ジョンに鶴岡聡さん、ソイヤー大統領に平田広明さん、テロリストのエミールに宮内敦士さん、そして、エミリーの小林由美子さん等々とても豪華なキャストの方々です。
同じくホワイトハウス占拠をテーマとした「エンド・オブ・ホワイトハウス」という作品と比べてみるのもまた、一興面白いかもですよ!!

 

ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ [DVD]

2作目は、2012年3月に公開されたドラマ

『ヘルプ~心がつなぐストーリー』
[画像はAmazon.co.jpより]

監督はテイト・テイラー。
1960年代の公民権運動を背景とし、黒人差別が根強くあった、ミシシッピ州が舞台。
ユージニア・フェラン(エマ・ストーン)はライターを志し、故郷ミシシッピ州に戻った。故郷の友人たちは、みな結婚・出産をしており、家事などを黒人メイドに任せて、お気楽な生活の毎日。そんな、日々の黒人に対しての差別に疑問や、真実を知る責任があると感じたユージニアは、黒人メイドたちに取材を始めた。しかし、答えてくれたのはエイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)ただ一人。その他のメイドたちは報復を恐れて口を閉ざすばかりだった。だが、ある事件をきっかけに、メイドたちは自らの経験を語り始める。真面目だけどどこかフッと笑え、ちょっと涙がこぼれる、そんなストーリーを彩るのは、ユージニア役/冠野智美さん、エイビリーン役/喜田あゆ美さん、黒人メイドのミニー(オクタヴィア・スペンサー)役/松熊つる松さん、友人ヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)役/甲斐田裕子さんで、絶妙なアンサンブルを醸し出しています。
こたつでミカンでも食べて春を待ちながら、是非ご覧ください。

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『大脱走』がやってくる!

2ヶ月に一度、ひたすら勢いで書いてるこのコラム。2014年最初の更新ながら、何の小ネタもない、どストレートな番宣になってしまいそうな・・・毎度そうですけど。

さて、このコラムで昨年2月に紹介したのは、ノーカット新録版の『タワーリング・インフェルノ』でした。
あれからちょうど1年・・・今回ご紹介(番宣)するのは、同じくスティーブ・マックィーン主演のオールスター大作、BSジャパンに初登場の『大脱走』であります!(『大脱出』じゃないよ)

【Amazon.co.jp限定】大脱走 スチールブック仕様ブルーレイ(初回生産限定) [Blu-ray]

第二次大戦中、ドイツ軍の捕虜収容所から大量脱走を図った連合軍捕虜たちの実話に基づいた、ジョン・スタージェス監督の不朽の名作。
オリジナルは170分超のこの作品、かつてテレビ東京「20世紀名作シネマ」で放送した際のふきカエは、2時間半枠用に制作した新録版(マックィーンは安原義人さん)でしたが、BSジャパンでは、ノーカット全長版を放送。ふきカエは、多くの映画ファンに愛された「ゴールデン洋画劇場」版を使用します。
映画自体がオールスターキャストですから、声優陣も、スティーブ・マックィーンは宮部昭夫さん、チャールズ・ブロンソンは大塚周夫さん、ジェームズ・コバーンは小林清志さん・・・といった今では考えられない超豪華な顔ぶれですが、個人的なツボは、ドナルド・プレザンスの勝田久さんだったり。
このふきカエをめぐっては、DVDなどソフト化のたびに収録される長さや状態が異なって、熱心なファンの間で物議を醸していましたが、今回の放送の音源は、発売中の「コレクターズ・ブルーレイBOX」に収録されている「ロング・バージョン」です。テレビですから、ブルーレイで欠落しているセリフなどが復活することはありませんので、悪しからず。

ともあれ『大脱走』は、2月7日(金)夜6時30分から、BSジャパンにて一挙放送!
ブルーレイとは異なる、フルフレーム版のハイビジョン映像でお送りします(テレビはこうでなくちゃ)。どうぞお楽しみに!

BSジャパン「シネマクラッシュ金曜名画座」は、この後も名作ふきカエが目白押し!

オズの魔法使 [Blu-ray]

14日(金)はバレンタインデーということで、タイロン・パワー&キム・ノヴァクの傑作メロドラマ『愛情物語』を再放送。
21日(金)は、あの『オズの魔法使』がBSジャパン初登場! ドロシー(ジュディ・ガーランド)の声は篠原恵美さん(『レオン』のナタリー・ポートマンですね)。そして“大魔王”の声のアノ人にご注目。
そして28日(金)は・・・まさかのゴールデンタイム復活! あのタランティーノもリスペクトしてやまない、リュー・チャーフィーの『少林寺三十六房』です。クンフー映画にこの人あり、池田秀一さんのふきカエを、全身の毛穴で受け止めろ!

・・・というわけで、やっぱり番宣大会でした。どーもすみません。

[作品画像はAmazon.co.jpより]


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