外国映画をこよなく愛し、数々の吹替えの制作現場に携わり、音声業界でも名うてのふきカエ愛好家である吉田プロデューサーと長谷川マネージャーとMr.ダークボ がぜひ観ていただきたい名作・秀作をご紹介!

※Amazonのページで紹介しているビデオテープ・DVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。

“裏アベンジャーズ”だぁ?こっちが“表”だっつーの!

今やハリウッド映画界の稼ぎ頭となっている、マーヴェル・コミック原作のSF活劇最新作。銀河系の支配を企む悪の帝国に戦いを挑むヒーローたち…と聞いて「またかよ!」とお思いの向きもおありでしょうが、まあまあちょっと待って。“銀河の守護者”なんて大層な名前はついていても今回のヒーローたちは、見た目で分かるように何ともヤバい連中なんである。


『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

Guardians of the galaxy ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 公式サイトへ

(日本語吹替え版のスタッフ・キャストはこちら)


幼い頃に地球から誘拐され、今や宇宙をまたにかけるトレジャーハンターとなったピーター・クイル、またの名を“スター・ロード”。彼が今回手に入れたのは、銀河を滅ぼすほどの恐ろしい力を持つパワーストーン、<オーブ>だった。巨万の富を生み出すそのお宝を巡って、欲にかられた悪党たちが入り乱れての争奪戦が始まる。しかしそれとは別に、オーブの力で銀河を支配するべく、強大な悪の帝王も動き出していた。絶体絶命のピーターは、収監先の刑務所で出会った面々と成り行きで手を組むことに。かくして、宇宙最凶のアライグマを筆頭に凶悪犯ばかりが集まったヤバすぎるチーム “ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”が誕生する。彼らは、この100%勝ち目のない無謀すぎる戦いに、果たしてどう挑むのか!?


まあね、本家本流『アベンジャーズ』の皆さんもツワモノぞろいとはいえ、出自を見れば天才科学者に大企業の社長、軍人に神様に諜報部員(=国家公務員)であり、言っちゃえば固いお仕事をされてる(神様をカタギと言っていいかは知らんが)勝ち組なわけですよ。
対してこちらガーディアンズはと言えば賞金稼ぎに美貌(緑色だけど)の暗殺者、怪力の粗暴犯にアライグマに木のお化け、おまけに全員が凶状持ちという、どっから見ても安定した老後は送れそうもないアウトローたち。つまり見た目は『アベンジャーズ』でも中身は宇宙を舞台にした『特攻大作戦』であって、作り手はあれだね、絶対『クラッシャージョウ』と『銀河旋風ブライガー』見てたね。お呼びとあれば即、参上!

そういう連中であるからしてこのガーディアンズ、そもそも銀河の平和だのハチのアタマだの、そういう大義名分は初手っから気にしてない。ただ「金が欲しい!」とか「あの野郎ぶっ殺す!」とか、自分の欲望に忠実すぎる連中が成り行きで嫌々手を組んでいる、なんとも清々しいチームなんである。

フツーの映画だと、こういう飛び道具みたいなキャラクターはチームの中にいても一人なわけ。素麺だってそうでしょ、白い中に一本だけ赤いのが混じってるから兄弟の間で取り合いになるんであって、あれ全部赤かったらそりゃもう素麺じゃないじゃないですか。でもそんな「素麺の赤いヤツ」ばっかし集めて、こんなべらぼうに面白い映画にしちゃうんだから監督のジェームズ・ガンは只者ではない。いわばハン・ソロばっかの『スター・ウォーズ』とか、全員が菊千代の『七人の侍』みたいなもんである。監督はインタビューで、「インスピレーションを受けた映画は?」という問いに「『レイダース』と『帝国の逆襲』、『ライトスタッフ』とタランティーノとセルジオ・レオーネ」と答えている。おー、わかってる。わかってるぞこの人は。

そんなガンちゃんは、映画のオープニングからもう変化球を投げてくる。冒頭でいきなり聞こえてくる曲が“I’m Not in Love”。英国のバンド10ccが70年代に放ったヒット・チューンで、曲名を知らない人でも聴けば「あー、はいはいはい」となる名曲だけどさ、え、でもコレSFじゃないの?と思う間もなく、主人公スター・ロードがジャクソン5の“I Want You Back”に乗って軽やかなステップで登場。そこから先もデヴィッド・ボウイにマーヴィン・ゲイにランナウェイズ(!)と怒涛の洋楽懐メロつるべ打ち。銀河系が舞台のスペオペで、ですよ。日本で言えばピンクレディーとかサザンオールスターズをバックに宇宙船が飛び回るわけです。かっけー!
でも、この選曲が単に監督の趣味ではないことが、映画を観ているとわかってくるのだ。なぜ70’sか、なぜアナログか。その歌詞も物語に密接に絡み合って感動と興奮を与えてくれる。こりゃー一本取られました。

ストーリーをこれ以上語るのは野暮の極みであるのでとにかく本編を見ていただくとして、キャストと吹替え版について。
主人公スター・ロードを演じるのは、これが映画初主演となるクリス・プラット。「えと何だっけ今度のマーヴェル映画の主演の奴。クリス何とか」「…エヴァンス?」「それキャプテン・アメリカじゃん」「あ、ヘムズワースか」「それはマイティ・ソー」「わかったパインだ」「何でスタトレが」てな会話が世界中で交わされたんでしょうな。そこで「ほら、『マネーボール』で一塁を守ってたじゃないか」なんて知識をひけらかしても「知らねーよ!」でチョンである。

そんな地味な主役でも、日本語吹替え版の声優が天下の山寺宏一となれば魅力は二倍、パワーは三倍。普段は調子コイてるけど腕は確かで、でもちょっとホロリとさせるナイーブな内面の持ち主なんて、まさに山ちゃんの真骨頂。後半のあるシーンではさすがの芸達者ぶりが見られます。
そして宇宙一凶悪なアライグマ、ロケット・ラクーン(オリジナルの声はブラッドリー・クーパー)を吹替える加藤浩次は、バラエティ番組で見せる狂犬キャラ全開。何かと物議を醸すタレントさんの吹替えも、キャラがハマればこっちのもンよ!とばかりに縦横無尽の大暴走を繰り広げる。
そしてもう一人(?)、見るからに奇っ怪な樹木型生命体のグルート。無表情で語彙も極端に少ないこのキャラで、見事に喜怒哀楽を表現したのは個性派俳優のエンケンさんこと遠藤憲一。実写映画の吹替えは初挑戦とは言え、『マトリックス』から『GODZILLA ゴジラ』まで、二十本以上の予告編でナレーションを務めた渋い声は映画ファンにもおなじみである。

公開されるや全米はもちろん日本でも大ヒット、そこら中から「おっもしれぇー!」の声が上がっている『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。もちろんシリーズ化も決定で、スタジオ側には三作目あたりで『アベンジャーズ』チームと合体する構想もあるらしい。スターク社長に突っかかるアライグマとか、ハルクとドラックスのドつき漫才とか、いやもう想像するだけで楽しいわあ。その時に後悔しないよう、公開中の劇場に今すぐ駆けつけるべし!


手延べ素麺揖保乃糸 上級 1kg

手延べ素麺 揖保乃糸 上級 1kg

[画像はAmazon.co.jpより]


え?最近の素麺って赤いやつ入ってないの?!

▲ ページの先頭へ

テレ東&BSジャパンでエクスペ祭り!

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』BSジャパン新録版、ご覧頂けましたでしょうか?
放送後、局には多数のメールやお手紙を頂きましたが、概ね好評だったようでほっとしてます。反響の中で最も多かった「もう一度観たい」「見逃した」という声にお応えして、11月9日(日)午後に再放送を予定してます。ぜひご覧ください。


エクスペンダブルズ 2 (期間限定価格版) [Blu-ray]

さて、この秋の目玉作品と言えば、何と言ってもこれ…テレビ東京「午後のロードショー」とBSジャパン「シネマクラッシュ金曜名画座」でそれぞれ連続放送する、『エクスペンダブルズ』(10/10に更新予定)&『エクスペンダブルズ2』!(10/17に更新予定)
劇場公開当時から「木曜洋画で観たかった」と言われた空前絶後の金ロー、違った、ローキン(老筋)花火大会が、「木曜洋画イズム」を継承する「午後ロード」と「シネクラ」に降臨! 『2』なんざ、初の無料放送ですぜ、旦那。

常々、劇場版やDVD版とは違う「テレビふきカエ」のマインドを語り続けている俺ですが、今回のエクスペ2本はさすがに新録はしません。いや、できません…
ふきカエキャストについては当事者である吉田Pのコラムが詳しいので繰り返しませんが、シルベスター・スタローンのささきいさおさん以下、こんだけ極め付けフィックス声優陣を力技で集められちゃあ、グウの音も出ませんや。唯一『1』と『2』で声が違うブルース・ウィリスも、CMで共演してた綿引勝彦さんがアテるなんて、まるでテレビふきカエの企画やおまへんか。
いずれ地上波局の洋画劇場でテレビふきカエが作られるのが当然だった時代なら、劇場版やソフト版のキャスティングでは、多少の「空き」を作っておいたものです(その方が制作会社もビジネスチャンスが増えますからね)。でもワンソフト・マルチユースのこのご時世、最初から全力投球で作っちゃうんですね。うれしいような、悲しいような。
テレビ用の「空き」があるとすれば、ジェット・リーの池田秀一さんだけですね。香港映画ファンの間ではすっかりフィックスとされてますが、実は池田ジェットはソフト版のキャスティングで、テレビでは『リーサル・ウェポン4』くらい。大昔(『少林寺』の頃)は水島裕さん、「金曜ロードショー」や「木曜洋画」(『ザ・ワン』はけっこう自信作です)では横堀悦夫さんが専らアテてました。まあジェット1人のために新録ってわけにもいかないし…

『エクスペンダブルズ』&『エクスペンダブルズ2』は、「午後のロードショー」では10月22日(水)と23日(木)に2日連続、「シネマクラッシュ金曜名画座」では10月31日(金)と11月7日(金)に2週連続でお送りします。もちろん11月1日(土)公開 『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』の情報も。どうぞお楽しみに!

激突!(復刻版)(初回限定生産) [DVD]

そう言えば、クロスオーバー企画がもう1本。
「シネマクラッシュ金曜名画座」では、エクスペ前の10月24日(金)に、あのスティーブン・スピルバーグ監督の出世作『激突!』(10/3に更新予定)を放送します。
先頃「午後ロード」で放送された際にちょいと話題になった、「日曜洋画劇場」版でのオンエアです。デビルトラック相手に奮闘するデニス・ウィーバーの声は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』日曜洋画版ではドクを演じた穂積隆信さん。カーラジオから聞こえるDJを、ナチチャコこと野沢那智さんと白石冬美さんが演じているという、都市伝説のようなふきカエであります。
「午後ロード」で不意を突かれた皆さん、この機会をお見逃しなく!

[作品画像はAmazon.co.jpより]


▲ ページの先頭へ

バックナンバー